ノースロップ・グラマンE-2Dアドバンストホークアイ
《シリアルナンバー》
E-2D |
91-3471(ex.169320) 01-3473/3474(ex.169322/169323) 31-3475/3476(ex.169991/169992) 41-3477/3479(ex.169993/169995)
| 2024年4月現在 |
《実機について》
早期警戒機E-2はアメリカ海軍の艦隊防空用“空飛ぶレーダーサイト”として開発され、原型機W2F-1(後にE-2A)は1960年10月21日に初飛行しました。E-2DはE-2Cホークアイ2000(HE2000)の発展型で、初飛行は2007年8月3日です。最大の特徴はレーダーをAN/APS-145からAN/APY-9に換装したことで、UHF帯を使うAESA(Active Electronically Scanned Array、アクティブ電子走査アレイ)レーダーは現在のところ世界でこれだけです。クラッターやノイズを除去する能力も向上し、これまで探知できなかった超低空を飛行する目標の探知が可能となったことなどにより、メーカーによれば探知範囲はHE2000の5倍に広がったとのこと。その他ミッション・コンピュータの更新、グラス/戦術コクピット化、航法アビオニクスの近代化、冷却系統の改良など様々な改良がなされています。また、空中給油受油装置も外付けで増設される予定です。
なおHE2000との外観上の違いとして、細かいブレードアンテナの差異を除くと、ロトドームマストの若干の大型化、ロトドーム中央にあったプリンのようなGPSアンテナドームの撤去、胴体上面の空気取り入れ口の形状変更(2段重ね)、胴体右側面にある空気取り入れ口の大型化、後部胴体下面に小さなアンテナフェアリングの追加、などが挙げられます。また空自のE-2Cとの違いとしては、さらに8翅プロペラと胴体下面のUSG-3システムのアンテナドーム(ちなみに中身は入ってません)の有無が挙げられます。
《自衛隊での使用状況》
防衛省は2014年11月21日、2015年度概算要求に計上している航空自衛隊の早期警戒(管制)機として、ノースロップ・グラマンE-2Dの採用を発表しました。この時は既存のE-2Cの代替ではなく追加とされていて、E-2C同様にFMS(有償対外軍事援助)での調達となります。1号機(81-3471)は2017年11月13日に初飛行しました。
先の中期防衛力整備計画(2014年度〜2018年度)の期間中に4機が導入され、納入予定は2018年度に1機(2015年度発注分、#471)、2019年度に1機(2016年度発注分)、2020年度に1機(2017年度補正予算発注分、#473)、2021年度に1機(2018年度発注分、#474)となっています。その後2019年度予算で9機を一括調達(#475/479含む)しており、結局これで現行13機のE-2C全てを代替することになったようです。2022年にこれまで5年ごとに見直しを行っていた「中期防衛力整備計画」を「防衛力整備計画」に改訂し(これにより31中期防は2022年度で終了)、期間を10年とすることが決まりましたが、その初年度となる2023年度予算案では5機の調達が予定されています。
1番機(#471)は2019年3月26日に船で岩国基地に到着、翌27日に三沢基地にフェリーされ、29日に航空自衛隊に引き渡されました。2020年3月7日には3,4番機(#473/474)が岩国基地に到着し4月上旬に納入されました。5,6番機(21-3475/476)は2022年10月17日に岩国基地に到着し11月に三沢基地にフェリーされてきましたが、2022年中に航空自衛隊に納入されなかったためS/Nは 31-3475/3476 に変更されています。7番機から9番機(#477/479)は2024年4月に順次三沢基地にフェリーされました。なお2番機はまだ日本に運ばれてきていない模様です。
《性能諸元》
| E-2D |
全幅 | 24.56m |
全長 | 17.6m |
全高 | 5.58m |
主翼面積 | 65.0u |
回転レーダー | 直径7.32m |
空虚重量 | 19,536kg |
全備離陸重量 | 26,083kg |
発動機 | アリソンT56-A-427A ターボプロップ×2 |
出力 | 5,100shp/13,850rpm(1基) |
最大速度 | 648km/h |
最大巡航速度 | 602km/h |
実用上昇限度 | 10,576m(34,700ft) |
飛行航続距離 | 2,708km(最大) |
滞空時間 | 約6時間 |
乗員 | 5名 |
《配備部隊》
部隊名 | 上位組織 |
第601飛行隊[飛行警戒監視群] | (警戒航空隊→)警戒航空団 |
2019年3月29日に三沢基地で航空自衛隊に引き渡された1番機(91-3471)は第601飛行隊に配備されましたが、約1年後の2020年4月になってようやく部隊マークが描かれた姿が確認されました。 |
第601飛行隊 |
制定 | 1986年3月24日 (同年4月5日に臨時警戒航空隊を警戒航空隊に改編) |
図柄 | 闇夜に超音波を出して飛ぶコウモリをE-2Cになぞらえた、コウモリと電光を黒と黄でデザインしたマーク |
記入位置 | コクピット後方の胴体側面 |
《キット》
まだキット化されていません。2017年4月の厚木基地春祭りで米海軍の実機を見た限りでは、既存のE-2Cのキットからの改造はけっこう大変そうだと思われるので、早期のキット化が望まれます。(^^;) |
《デカール》
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