ボーイングKC-46Aペガサス

《シリアルナンバー》

KC-46A14-3611(ex.N6018N/21-46401) 24-3612(ex.21-46402)
44-3613(ex.24-46403) 44-3614(ex.N8287V/24-46404)
54-3615
2024年6月現在

《実機について》

 KC-46Aはアメリカ空軍に於いてKC-135やKC-10の後継機として2011年2月24日に採用が決定されました。すでに航空自衛隊で運用されているKC-767と同様、標準型の胴体を持つ長距離型ボーイング767-200ERがベースになっていますが、主翼は-300ERのものを、コクピットはボーイング787のシステムをベースにしたグラスコクピットを装備し、またエンジンはKC-767のゼネラル・エレクトリックCF6ではなくプラット&ホイットニーPW4062を搭載しています。空中給油システムを装備しない飛行試験機B.767-2C(EMD-1)の初飛行は2014年12月28日、それを最初から装備した“KC仕様”試験機の1号機(EMD-2)の初飛行は2015年9月25日です。

 旅客機型との胴体内の違いはおおむねKC-767と同じですが、胴体上半分の貨物スペースは中央に隔壁が設けられるようになっており、これにより貨客混載のミッションもこなせるようになりました。また機首上面にはフライングブーム式の空中給油口も設置されています。コクピットは装甲で覆われ、機首と尾部にはALR-69(V)レーダー警戒受信機や、地上の携帯式防空システムから発射される赤外線追尾式ミサイルに対抗するためのAAQ-24(V)LAIRCM(大型機赤外線対抗)システムを装備しています。

 空中給油装置のうち尾部に装備するフライングブームはKC-10用の発展型となって操作許容量が増し、また両主翼端近くの下面に吊した主翼空中給油ポッド(WARP)と尾部下面に装備した中央ドローグ装置(CDS)の計3箇所でブロープ&ドローグ式の空中給油も行えます。空中給油装置の操作はコクピットの正副操縦士席と背中合わせに設置された2席の空中給油オペレーター席(AROS)で行いますが(なお通常は1名で操作)、ここもKC-767の遠隔給油操作ステーション(RARO)を発展させたものとなっており、モニターは三次元表示も可能になっています。

 アメリカ空軍ではKC-46Aを179機調達する予定ですが、品質問題などで調達は遅れています。

《自衛隊での使用状況》

 政府は2013年12月に閣議決定された2014年度から2018年度までの中期防衛力整備計画で、新空中給油・輸送機を3機装備するとされました。防衛省はこの決定に基づき2015年4月に新たな空中給油・輸送機の提案要求を行いました。これはKC-767の追加購入ではなく新型機とされ、2016年度予算の概算要求に盛り込むとしています。9月8日に行われた機種選定のための入札に対し、応札した企業がボーイングしかなかったため、防衛省は10月23日に機種をKC-46Aに決定したと発表しました。

 実機取得の予算要求は予定より1年遅れて2017年度予算で1機が発注され、2018年度予算でも1機が発注されましたが、2019年度予算での発注はなく結局この中期防内での調達数は2機でした。その後2019年度から2023年度までの新たな中期防衛力整備計画内で改めて4機の調達計画が盛り込まれ(つまり合計の調達数は6機となります)、2020年度予算で4機の一括調達予算が盛り込まれました。2020年12月15日には美保基地の第3輸送航空隊隷下に第405飛行隊が新編されました。

 2021年2月9日(現地時間)には航空自衛隊向けKC-46Aの1号機(14-3611)が初飛行、10月29日に美保基地に到着し航空自衛隊に引き渡されました。2号機は2022年2月24日に美保基地に到着しましたが、この時書かれていた「14-3612」のシリアルナンバーは4月になって「24-3612」に書き換えられ、同時期に部隊マークも描かれています。2024年2月には3号機も到着しましたが、当初書かれていたシリアルナンバー「34-3613」は受領が2024年にずれ込んだため「44-3613」に書き換えられています。2024年3月には4号機(44-3614)が到着しています。5・6号機は2024年度に受領する予定で、6月には本国で「54-3615」のシリアルナンバーを付けた5号機の姿が確認されています。

《性能諸元》

KC-46A
全幅48.1m
全長50.5m
全高15.9m
最大離陸重量188,240kg
発動機プラット&ホイットニーPW4062
ターボファン×2
出力282kN(1基)
最大速度マッハ0.86(915km/h)
巡航速度マッハ0.80(851km/h)
航続距離12,200km
乗員3名

《配備部隊》

部隊名上位組織
第405飛行隊第3輸送航空隊
2020年12月15日に美保基地において編成されました。

《部隊マーク》

第405飛行隊
制定不明(2022年4月頃?)
図柄カラス天狗を図案化したマーク
(美保基地のある境港市の近隣にある大山町のシンボル、カラス天狗に由来?)
2022年4月になって#612の尾翼に描かれているのが確認されています。

《キット》

1/200 ハセガワKC-46A【限定版】2022年3月発売された『航空自衛隊 初号機』(10847)は、2016年6月発売の米空軍型に空自デカール(日の丸と1号機の機番のみ)を入れたものです。2023年5月発売の『航空自衛隊 405SQ』(10855)には部隊マークも入りました。キットは実機同様B.767-200のキットにフライングブームなど新規パーツを追加したものです。

《デカール》

1/200 ハセガワキット付属
(“航空自衛隊 初号機”)
【限定版】
KC-46A航空自衛隊向け1号機
キット付属
(“航空自衛隊 405SQ”)
【限定版】
KC-46A第405飛行隊(第3輸送航空隊)

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