ボーイングKC-767

《シリアルナンバー》

KC-767 87-3601/3602 97-3603 07-3604

《実機について》

 ボーイング767は1981年9月26日に初飛行した1980年代を代表する双発ワイドボディ旅客機です。KC-767の原型となるのは標準型の胴体を持つ長距離型ボーイング767-200ERで、これはE-767と同じです。なおボーイング767T-Tという呼称はボーイング社で使っていたもので Tanker/Transport のことです。

 KC-767は、基本的にはボーイング767-200ERの胴体下半分の貨物スペースに燃料タンクを増設し、尾部にアメリカ空軍と同じ規格のフライングブーム式空中給油装置を装備したものです。フライングブーム自体はKC-135のものと同等ですが、その操作は遠隔給油操作ステーション(Remote Aerial Refueling Operation:RARO)で行うため、給油操作員席はコクピット直後の機内前方に置かれています。また、胴体上半分はB.767-300Fと同様の貨物型で(現在B.767-200をベースとした純貨物型は存在しません)前部胴体左側面に大型の貨物扉が設置されています。

 KC-767は、航空自衛隊の他にイタリア空軍(KC-767A)が採用しています。イタリア空軍向けの機体には、尾部と左右主翼下にブロープ&ドローグ式の給油装置が備えられていますが、航空自衛隊向けの機体にはありません。また、アメリカ空軍が2011年にすったもんだの末に採用した、同じB.767-200ERをベースにしたKC-46Aは似て非なる機体となります。そのほか、コロンビア空軍が運用しているKC-767ジュピターは、イスラエルのIAI社が同空軍向けに改修したB767MMTT(Multi-Mission Tanker Transport)と呼ばれる機体で、両主翼下にブロープ&ドローグ式の給油装置を持っていますが尾部のフライングブーム式給油装置はありません。

《自衛隊での使用状況》

 防衛庁は2001年12月14日に、航空自衛隊で新たに導入する空中給油・輸送機としてボーイング767をベースとした機種(ボーイング767T-T)とすることを発表しました。航空自衛隊としては12機程度を取得したい考えでしたが、予算の制約が厳しかったため前の中期防衛力整備計画(2001〜2005年度)で4機導入することとされ、2002年度から2005年度までの予算で1機づつ発注されました。当初予定では初号機は2006年12月に日本に到着、川崎重工により納入前整備が行われ2007年3月に納入されるスケジュールでした。しかし、初号機の初飛行が2006年12月21日にずれ込み、またアメリカ連邦航空局(FAA)による機体の安全性に関する証明(追加型式証明)の取得に時間がかかったため、日本到着も遅れに遅れて2008年2月20日にようやく岐阜基地に到着、29日に小牧基地に移動しました。

 到着後は、飛行開発実験団内に編成された空中給油・輸送機実用試験隊において約1年間かけて実用試験が行われ、2009年3月26日付けで第1輸送航空隊隷下に新編された第404飛行隊に配備されました。2010年1月8日には最終号機となる#604が航空自衛隊に引き渡されました。

 その後2013年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画(2014年度〜2018年度)で、新空中給油・輸送機を3機装備するとされました。防衛省はこの決定に基づき2015年4月に新たな空中給油・輸送機の提案要求を行いました。これはKC-767の追加購入ではなく新型機とされ、2016年度予算の概算要求に盛り込むとしています。9月8日に行われた機種選定のための入札に対し、応札した企業がボーイングしかなかったため、防衛省は10月23日に機種をKC-46Aに決定したと発表しました。

《性能諸元》

KC-767
全幅47.57m
全長48.51m
全高15.90m
主翼面積283.3u
最大離陸重量179,172kg
発動機ゼネラル・エレクトリックCF6-80C2B6FA
ターボファン×2
出力27,900kg(1基)
航続距離14,075km
乗員3名

《配備部隊》

部隊名上位組織
第404飛行隊第1輸送航空隊
空中給油・輸送機実用試験隊飛行開発実験団
空中給油・輸送機実用試験隊は、小牧基地に於いて2008年2月1日付けで臨時に編成されたもので、第404飛行隊新編に伴い解散しました。また第404飛行隊は2009年3月26日付けで新編されました。

《部隊マーク》

第404飛行隊
制定不明(2009年3月頃?)
図柄部隊が所在する小牧基地がある小牧市の、地名の由来となった「駒来」からくる黒馬の頭をモチーフにしたマーク
空中給油・輸送機実用試験隊
制定1964年7月(実験航空隊時代)、1989年3月10日(飛行開発実験団改編時)
図柄衝撃波と人工衛星の軌道を組み合わせたデザインの実験航空隊〜航空実験団の青いマークから「APW」の文字を消し、デザインが若干変更された飛行開発実験団のマーク

《キット》

1/144 ウェルシュモデルKC-7672019年12月発売。胴体はバキュームフォーム、主尾翼、ロートドーム、エンジン回りや小物はレジン製パーツで構成されています。ドローデカール製のデカール付き。
1/200 ハセガワKC-767
【限定版】2013年12月発売でE-767との2機セット。E-767と同じ胴体と主翼パーツ(主翼端は作り分けています)に、フライングブームやパイロットディレクターライトなどが新規プラパーツで追加されています。
【パッケージ替えキット】
●“ワールドタンカー コンボ” (2機セット)
(イタリア空軍機、コロンビア空軍機、空自機のデカール入り)
1/700 ピットロードKC-767「航空自衛隊機セット2」(S73(旧品番S38)、メタル製C-1入りのS38SP【絶版】もあり)、「航空自衛隊基地」(SPS03)に付属(S31「航空自衛隊 航空機セット(2)」は【絶版】)。日の丸のみならずシリアルナンバーや部隊マークもいちおうデカール化されています。

《デカール》

1/100 ドローデカール10s-767-71KC-767第404飛行隊[第1輸送航空隊]
空中給油・輸送機実用試験隊
[飛行開発実験団]
アメリカ製デカール。S/Nは新旧入っていますが部隊マークは色が濃い旧バージョンのみ。それより肝心のキットをどうしろと。(^^;
1/144 ウェルシュモデルキット付属KC-767第404飛行隊[第1輸送航空隊]
空中給油・輸送機実用試験隊
[飛行開発実験団]
ドローデカール44s-767-71KC-767第404飛行隊[第1輸送航空隊]
空中給油・輸送機実用試験隊
[飛行開発実験団]
アメリカ製デカール。S/Nは新旧入っていますが部隊マークは色が濃い旧バージョンのみ。上記ウェルシュモデルのキット付属デカールと同じものです。
1/200 ハセガワキット付属
【限定版】
KC-767第404飛行隊[第1輸送航空隊]
空中給油・輸送機実用試験隊
[飛行開発実験団]
ドローデカール20s-767-71KC-767第404飛行隊[第1輸送航空隊]
空中給油・輸送機実用試験隊
[飛行開発実験団]
アメリカ製デカール。S/Nは新旧入っていますが部隊マークは色が濃い旧バージョンのみ。

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