ノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホーク

《シリアルナンバー》

RQ-4B33-6001 23-6002/6003

《実機について》

 RQ-4は無人機の強みを活かして目的地上空に長時間滞在、各種情報を収集するプラットフォームとして1995年から開発が開始され、試作1号機は1998年2月28日に初飛行しました。機体には衛星通信用アンテナと合成開口レーダーや各種センサーを搭載、機体の操縦や機器類の操作はレイセオン製の地上モジュールで行い、LRE(Launch and Recovery Element)では飛行場でパイロットが離着陸に関わる操作を、MCE(Mission Control Element)ではパイロットとセンサーオペレーターが作戦行動に関わる操作を担当します。機体とLRE、MCEは衛星通信で結ばれているため近くに置く必要はありません。

 アメリカ空軍向けの最初の量産型RQ-4A(ブロック10)は2003年8月1日にロールアウト、11月16日に部隊配備されました。RQ-4B(ブロック20)はA型の胴体と主翼幅を伸ばした発展型で、2006年8月25日に公開されました。現在の生産型はRQ-4B(ブロック30)で、さらに搭載機器を変更したRQ-4B(ブロック40)も生産されています。ブロック30まではIMINT(IMagery INTelligence、画像情報収集)/SIGINT(SIGnal INTelligence、信号情報収集)を主任務とし、U-2戦略偵察機の無人機版といえる機体でしたが、ブロック40は地上監視・指揮を主任務としており、E-8ジョイントスターズ地上目標捜索監視機の無人機版といえる機体になっています。また、アメリカ海軍のBAMS(Broad Area Maritime Surveillance、広域海洋監視)型であるMQ-4Cトライトンも2018年から運用が開始されています。

《自衛隊での使用状況》

 防衛省は2014年11月21日、「広域における常時継続的な警戒監視態勢の強化」を目的として2015年度概算要求に計上している滞空型無人機として、ノースロップ・グラマン・グローバルホークの採用を発表しました。今の中期防衛力整備計画(2014年度〜2018年度)の期間中に3機の導入が計画されており、2015年度予算でシステムの一部(取得に要する期間が長期にわたるもの及び遠隔操作のための地上装置)の取得が盛り込まれました。予算概要ではサブタイプについては触れられていませんが、2015年11月19日にアメリカ国防安全保障協力局(DSCA)により、アメリカ国務省が日本に対しRQ-4Bブロック30(I)の機体と関連機器、部品、サポートなどを、対外有償軍事援助(FMS)で輸出することを承認したため、この輸出案を議会へ報告したことが公表されました。また、予算上は航空自衛隊機として扱われていますが、中期防の中では「運用は陸海空3自衛隊共同の部隊を新編して行う」とされています。

 発注は年度をまたがって行われました。2015年度予算で3機分の後部胴体と主翼それに遠隔操作のための地上装置が発注され、2016年度予算では3機分の前部胴体や各種部品などが発注されました。2017年度と2018年度予算でそれぞれ1機分の組立経費とその他関連経費が発注され、2019年度予算でも1機分の組立経費とその他関連経費が盛り込まれました。初号機は2021年度配備とされ、配備先として2021年3月18日付で臨時偵察航空隊が三沢基地で編成、航空自衛隊向けの1号機は2021年4月15日(現地時間)に初飛行しました。その後2022年3月12日に2号機(23-6003)が、続いて3月27日に3号機(23-6002)が三沢基地に到着しましたが、1号機は2023年6月30日になってようやく到着しました。よって2023年度領収となったため1号機なのにS/Nは 33-6001 となりました。なおこれに先立つ2022年12月15日には正式な航空隊の新編セレモニーが行われたようで(飛行隊の名称はまだ不明)、21日には初の作戦飛行が行われたようです(ソース→ JASDF operates first RQ-4B Global Hawk mission)。  

《性能諸元》

RQ-4B
全幅39.9m
全長14.5m
全高4.7m
空虚重量6,781kg
全備重量14,628kg
発動機ロールスロイスF137-RR-100
ターボファン×1
出力7,600lbf(34kN)
最大巡航速度575km/h
実用上昇限度10,576m(34,700ft)
作戦行動半径14,001km
滞空時間約28時間
乗員0名
(遠隔操作に3名[LRE(離着陸担当)パイロット、
MCE(作戦行動担当)パイロット、センサーオペレーター])

《配備部隊》

部隊名上位組織
偵察航空隊

《部隊マーク》

部隊名上位組織
まだ描かれていません。

《キット》

※ブロック20とブロック30の外観はブレードアンテナの違いを除いてほぼ同じと思われます。
1/48 キネティックRQ-4B2020年9月発売。ブロックナンバーは明記されていませんが、ボックスアートから見てブロック20/30と思われます。架空の航空自衛隊デカール入り。
スカンクモデルズRQ-4B
ブロック20
2010年3月発売。
1/72 プラッツRQ-4B
2023年5月発売。キット名は『航空自衛隊 無人偵察機 RQ-4B グローバルホーク 三沢基地 偵察航空隊』(AC-76)で、2010年3月に発売された米空軍バージョンのブロック20 に、実機マーキングに即した空自デカールを入れたものです。
 2020年8月には、これまで横田基地に展開したブロック30/40の機体のマーキングを集めたパッケージに架空の航空自衛隊デカールを入れた限定版(“横田 AB”[航空自衛隊デカール付き特別版](AC-34SP))も発売されました。ただしもちろんキットそのままで米空軍のブロック40は作れません。2022年1月には航空自衛隊向け1号機のマーキングを再現したデカールを入れた限定版(“航空自衛隊 2021仕様デカール付き 特別版”(AC-54SP))も発売されました。
1/144 ミニウイングRQ-4B
ブロック20
2017年6月発売のチェコ製インジェクションキット。
マツオカステンRQ-4B
ブロック20
2010年3月発売のレジンキット。
1/700 アオシマRQ-4B海上自衛隊補給艦「ましゅうSP 邦人救出作戦」のキットに入っています。
ピットロードRQ-4B「アメリカ空軍機セット 4」(S58)に入っています。

《デカール》

1/72 プラッツキット付属RQ-4B偵察航空隊

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