シコルスキーUH-60J,UH-60J(近代化)ブラックホーク

《シリアルナンバー》

UH-60J
18-4551/4553 28-4554/4556 38-4557/4558 48-4559/4561
58-4562/4563 68-4564/4565 78-4566/4567 88-4568 98-4569
08-4570/4573 18-4574/4576 28-4577 38-4578 48-4579/4580
58-4581/4582 68-4583 78-4584/4585 88-4586/4587
98-4588/4589 08-4590/4591 18-4592
UH-60J(近代化)
58-4593/4599 68-4600/4603 78-4604 88-4605/4608
98-4609/4610 08-4611 18-4612/4613 38-4614/4615
48-4616/4617
2024年
10月現在

《実機について》

 H-60(社内名称S-70)はアメリカ陸軍のUH-1後継機として開発されたターボシャフト双発の汎用ヘリコプターで、原型機YUH-60Aは1974年10月17日に初飛行しました。現在アメリカ陸軍では、エンジンを強化し排気口にIRサプレッサーやIRジャマーを装備した発展型UH-60Lが主力になっています。
 アメリカ海軍はSH-2の後継機となるLAMPS III(多用途艦載機)として、UH-60を艦載機仕様に改めたSH-60Bの採用を決定し、1979年12月12日に原型機が初飛行しました。SH-60Bの機体はUH-60Aを基本にしていますが、艦上での運用のためローターブレード、テイルブーム、水平安定板が折り畳めるようになっており、尾輪も離着艦スペースに合わせ前進させた位置に取り付けられています。後には空母搭載用の対潜哨戒型SH-60Fや多用途型HH-60Hも作られていますが、現在SH-60BとSH-60Fを統合したSH-60Rの開発が進められています。
 アメリカ空軍はHH-3Fの後継機となるSAR(捜索・救難)ヘリコプターとしてHH-60Dを採用しました。HH-60Dでは機首右側に空中給油ブロープが付いたほか、捜索時の視界確保のためと、コンバット・レスキューを想定しキャビンに乗るガナーの射撃の障害にならないために、ESSS(機外搭載補助システム)と呼ばれる機外搭載用小翼がUH-60AのESSSとは違って大きく上半角のついたものになっています。HH-60Dは10機程度が作られただけで、すぐに生産は発展型HH-60Gに切り替わりました。HH-60Gでは機首に気象レーダーとFLIRを装備(空自/海自型とは形状が異なります)、排気口にはIRサプレッサーやIRジャマーを装備しています。また、HH-60Gをベースにした特殊作戦型MH-60Gも作られています。
 H-60/S-70系列はアメリカ3軍・沿岸警備隊のほか世界22ヶ国で使用されており、イギリス、韓国、日本ではライセンス生産も行われています。

《自衛隊での使用状況》

 自衛隊では、海上自衛隊が艦載対潜型としてSH-60BをベースにしたSH-60Jを、航空自衛隊と海上自衛隊が救難型としてUH-60AをベースにしたUH-60Jを、陸上自衛隊が多用途型としてUH-60LをベースにしたUH-60JAを採用しました。

 UH-60Jは、航空自衛隊ではKV-107IIの後継機として1987年に採用されたものです。同じUH-60Jでも空自と海自では装備品に若干の違いがあるものの、どちらも機首には気象レーダーとFLIRを装備して夜間捜索能力を備え、胴体左右には目視捜索用のバブルウィンドウを装備しています。また、航続力確保のため常に増加タンクを装備していますが、これを吊り下げるESSSはHH-60D/Gと同タイプの大きく上半角のついたものになっています。

 シコルスキー製の1号機は1990年12月7日に日本に到着し、1991年2月28日に航空自衛隊に引き渡されました。2,3号機は三菱重工によるノックダウン生産機で、4号機以降からはライセンス生産が行われ、2011年3月までに42機が引き渡されて調達は終了しました。

 #570号機以降の機体はテイルブーム右側面前部に太鼓状のフライトデータ・レコーダーを装備していますが、既存の機体にもIRAN時に搭載されました。また#579号機以降の機体は自己防衛能力を向上させたUH-60J(SP)(SP=Self Protection)と呼ばれるタイプで、機首と尾部に海上自衛隊のSH-60Jと同様のミサイル警報装置のセンサーを増設し、テイルブームの左側面前部と右側面後部にチャフ/フレアディスペンサーを取り付けています。

 2004年ごろからは機体の塗装を変更し、上面を濃いブルーグレイ、下面を薄いブルーグレイ(F-2A/Bと同じ配色と思われます)とし、文字や数字、各種注意書きは薄いグレイで書かれるようになり、縮小された日の丸はテイルブーム側面に、『航空自衛隊』の文字はキャビンドア下方に移りました。このため、従来ここに描かれていた航空救難団のマークは消されてしまいました(泣)。塗装変更以前に就役した機体も順次この塗装に塗り替えられています。

 2006年度にはUH-60Jに対し空中受油機能の付加のための試改修予算が盛り込まれました。これは長距離救難能力の向上を目的としており、これにより米空軍との共同演習参加の際などに洋上の長時間飛行などが容易となります。2006年度発注の2機(#588/589)から空中給油ブロープの装着、操縦席への燃料制御パネルの設置、燃料配管の追加などが実施され、ブロープ装着1号機となる#588は2009年1月6日に初飛行しました。既存の機体にも追加装備が始まっています。

 なお、2011年3月11日に発生した東日本大震災により松島基地が津波で水没し、松島救難隊に所属していた4機(#560,#568,#570,#578)が被災、全損しました。このため2011年度の東日本大震災復旧・復興関連補正予算で代替機4機が予算化され、2014年度納入予定でしたが、この4機から下記のUH-60J(近代化)になったためか1年程度遅れました。

 防衛省は2010年11月5日、次期救難救助機として三菱重工業(MHI)提案のUH-60J(近代化)を選定したと発表しました。MHIによれば、これは「UH-60Jの最新形態を母機として、アビオニクス(航空電子機器)を統合したグラス・コックピット化などの近代化をはかった高性能救難救助機」なのだそうです。SP型からの外観的な変更点としては、排気口にIRサプレッサー設置(取り外しも可能)、右舷のホイストの二重化、機首下面FLIRの変更に伴う形状の変更、機体各部の自衛用アンテナの形状や設置位置変更などが挙げられます。

 初号機(58-4593)は2014年度中に納入予定でしたが、結局2015年5月23日にロールアウト、6月3日に初飛行(初ホバリングテスト)を行い、7月29日に航空救難団に配備されました。なお現場では「UH-60J II」と呼ばれているそうです。

 今後の調達予定は2024年度に5機(2021年度発注分、#4617含む)となっています。2022年にこれまで5年ごとに見直しを行っていた「中期防衛力整備計画」を「防衛力整備計画」に改訂し(これにより31中期防は2022年度で終了)、期間を10年とすることが決まりましたが、その初年度となる2023年度予算で調達予定分の残り12機を一気に調達することになりました。これにより、当初は合計40機の調達予定だったのが最終的に41機を調達することになりますが、1機増えた分は2017年10月17日に墜落した#596の代替分と思われます。

《性能諸元》

UH-60J
主回転翼直径16.36m,4枚羽根
胴体全幅2.7m
胴体全長15.26m
全高5.23m
運用重量5,250kg
最大離陸重量10,000kg
発動機ゼネラル・エレクトリックT700-IHI-401A
ターボシャフト×2
出力1,662shp(1基)
最大速度296km/h(外部搭載なし)
巡航速度275km/h
実用上昇限度17,000ft
海面上昇率1,290ft/min
飛行航続距離1,295km
乗員5名

《配備部隊》

部隊名上位組織
救難教育隊(小牧)、千歳、秋田、松島、百里、新潟、浜松、小松、芦屋、新田原、那覇の各救難隊航空救難団
KV-107IIA-5の後継機として上記の各部隊に2〜3機づつ配備されました。

《部隊マーク》

※これらのマークは現行の洋上迷彩機では使われていません(T^T)
救難教育隊、各救難隊
制定1988年10月17日
図柄青地のエンブレムに黒で航空部隊を表す鷲、救助を表す手、リボンの中に「Air Rescue Wing」の文字を配した航空救難団のマークと、その下の枠に所属救難隊名をローマ字(救難教育隊は「TRAINING SQ」)で記入
記入位置キャビンドア下方

《キット》

1/48 コブラUH-60J
(レジン製
改造パーツ)
アカデミーHH-60D用のアメリカ製改造パーツ。機首まわりがパーツ化されていますが胴体側面のバブルウィンドウやテイルブームのアンテナ、機内は自作が必要で、デカールもついていません。
1/72 フジミUH-60J
HH-60Dのキットに機首レドームやテイルブームのアンテナ、胴体側面のバブルウィンドウなどのパーツを加えたものですが、機内は再現されていません。定番品には通常塗装機と迷彩評価試験機の2種類があります。
【限定版キット】
●記念塗装機[2種類]
ハセガワUH-60J
【限定版】1996年発売の『UH-60Jレスキューホーク“航空自衛隊”』(DT122)、これに洋上で救助を待つ遭難者と救難員のレジン製フィギュアを同梱したバージョン、2008年8月発売の『三菱MU-2A&UH-60J“航空救難団50周年記念”』(00933)まではHH-60Dのキットに機首レドームなどのメタルパーツを入れただけもので、胴体側面のバブルウィンドウやテイルブームのアンテナなどが入っていませんでした。2021年11月発売の『UH-60Jレスキューホーク“航空自衛隊 50周年記念 スペシャルペイント”』(02384)は、機首レドームのメタルパーツに加えて下記SP機用の追加パーツも入り、上記の欠点は解消されています。ただしいずれも機内は再現されていません。
UH-60J(SP)
【限定版】2008年12月発売、映画『空へ−救いの翼 RESCUE WINGS−』とのタイアップ商品です。従来からあった上記の限定版と違い、機首レドームや機首と尾部のミサイル警報装置のレシーバー、フライトデータレコーダー、チャフ/フレアディスペンサーなどをレジンパーツで、側面のバブルウィンドウを透明レジンで、機体各部のアンテナをエッチングパーツで追加して最新の形態を再現できるようになっています。デカールも現行のブルーグレイ迷彩機のものが入っていて外見上はほぼカンペキですが、残念ながら機内は再現されてません。(~。~;)
UH-60J(SP)
【限定版】2011年12月に上記限定版キットのレジンパーツをプラパーツに置き換えてデカールの機番を変えた『UH-60J(SP)レスキューホーク』(01965)が発売されました。2013年7月に発売された『千歳スペシャル』(02056)までは空中給油ブロープがないタイプでしたが、2018年3月に発売された『新潟分屯基地 55周年記念』(02271)以降のキットは金型を若干改修して空中給油ブロープなどもプラ部品で入りました。その後2020年7月に『千歳救難隊 60周年記念』(02339)、2021年4月にノーマルマーキングの『洋上迷彩』(02375)、2022年10月に『那覇救難隊 40周年記念』(02414)2023年4月に『新潟救難隊 60周年記念』(02438)が発売されました。
プラッツUH-60J2018年11月発売。2006年1月〜3月放送のTVアニメ『よみがえる空/Rescue Wings』のBlu-ray BOXが、航空救難団創設60周年を記念して2018年11月に発売されるのに合わせての商品化です。中の人は残念ながらハセガワですが、SP機用の追加パーツに加えて機首左側のFLIR装置基部はSP以前の形状のパーツがメタルパーツで入っています。
1/144プラッツUH-60J
(よみがえる空)
2機入り。エフトイズの食玩「ヘリボーン・コレクション2」のアイテムにあるSH-60Jのバリエーションキットです。2006年1月〜3月放送のTVアニメ『よみがえる空/Rescue Wings』とのタイアップ商品です。
UH-60J
(空自50周年記念塗装機)
2機入り。上記と同じ中身にカルトグラフ製の航空自衛隊50周年記念塗装機と通常塗装機のデカールをセットしたものです。
UH-60J
(空自40周年記念塗装機)
2機入り。上記と同じ中身にカルトグラフ製の航空自衛隊40周年記念塗装機と通常塗装機のデカールをセットしたものです。
UH-60J
(空へ−救いの翼−)
映画『空へ−救いの翼 RESCUE WINGS−』とのタイアップ商品。2機入り。ハセガワ同様機首と尾部のミサイル警報装置のレシーバーやフライトデータレコーダー、チャフ/フレアディスペンサーなどが新たにパーツ化されています。
UH-60J
(よみがえる空)
2018年12月発売、U-125Aとの2機セット。上記のTVアニメ『よみがえる空/Rescue Wings』のBlu-ray BOX発売に合わせての商品化です。
UH-60J
(洋上迷彩/救難塗装)
2020年1月発売、2機入り。現行の迷彩機、黄/白の旧塗装機、それに海上自衛隊機の3種が選べるデカール入りです。
UH-60J
(那覇救難隊創立50周年)
2023年7月発売。U-125Aとの2機セットです。
UH-60J
(小松救難隊 自衛隊刺繍パッチ付属)
2023年9月発売。U-125Aとの2機セットで小松救難隊エンブレムの刺繍パッチ付き。
タカラトミーUH-60J
【限定版】番外編。2006年8月発売の『日本沈没【D2計画篇】』のアイテムのひとつになっているものです。塗装済み完成品なので番外としましたが、プラキットと並べても遜色のない出来です。
エフトイズ・
コンフェクト
UH-60J
【限定版】番外編。2006年8月発売の『ヘリボーンコレクション3』のアイテムのひとつになっているもので、型はプラッツのキットと同じですが素材が異なります。塗装済み完成品なので番外としました。なお航空自衛隊バージョンはシークレットアイテムになっています。
UH-60J
【限定版】番外編。2011年10月発売の『ヘリボーンコレクションSPECIAL Ver.』のアイテムのひとつ。『ヘリボーンコレクション2/3』のアイテムからのアソートで、空自型のUH-60Jは『ヘリボーンコレクション3』のシークレットとは異なりイエローホーク塗装になっています。
UH-60J【限定版】番外編。2021年12月発売の『ヘリボーンコレクション9』のアイテムのひとつで、洋上迷彩機、旧塗装機、SP型の3種です。SP型は空中給油プロープとテイルブームのチャフ/フレアディスペンサーを追加したほか機首周りもそれらしく金型を変えてありますが、尾部のレーダー警報装置はありません(惜しい!)。
UH-60J(SP)
1/350 フジミUH-60J護衛艦「DDH-181ひゅうが」「DDH-182いせ」のキットに搭載機として入っています。いちおう海自型ですが塗装で空自型にもできるでせう。
1/700ピットロードUH-60J/JA「世界の軍用ヘリコプター」(S54)、「世界の軍用ヘリコプター(1)」(S25)【絶版】に付属。もちろんプラ製です。陸自型となっていますが塗装次第でどうにでもできますw
UH-60J【絶版】「自衛隊ヘリコプターセット」に付属。ホワイトメタル製。
UH-60J(SP)
 /J(II)
[2024年7月発売予定]「自衛隊航空機セット 2」(S77)に付属。完全新金型で空中給油ブロープが付いた姿を再現しています。
アオシマUH-60J「トモダチ作戦&海上自衛隊護衛艦はるさめ」「トモダチ作戦&海上自衛隊護衛艦たかなみ」に付属。

《デカール》

1/72 フジミキット付属
(航空自衛隊)
UH-60J国籍マークと機番のみ
キット付属
(迷彩塗装機)
UH-60J小松救難隊[航空救難団]迷彩評価
試験塗装機
松島救難隊[航空救難団]
ハセガワキット付属
【限定版】
UH-60J航空救難団団マーク
各救難隊ネームプレート
キット付属
【限定版】
UH-60J(SP)国籍マークと機番のみ
プラッツキット付属UH-60J小松救難隊[航空救難団]
ホビー
 コレクティブ
 (プラッツ)
HC72-1
UH-60J百里救難隊[航空救難団]空自40周年
記念塗装機
製作はNBM21で、プラッツの通販サイト「ホビーコレクティブ」でのみ入手できます。ハセガワとフジミ、形状があまりに違う双方に対応していますので、まるで2機分収録されているようです。(^◇^;)
1/144 プラッツキット付属
(よみがえる空)
UH-60J小松救難隊[航空救難団]2機分
キット付属
(空自50周年記念塗装機)
UH-60J小松救難隊[航空救難団]空自50周年
記念塗装機
百里救難隊[航空救難団]
キット付属
(空自40周年記念塗装機)
UH-60J百里救難隊[航空救難団]空自40周年
記念塗装機
芦屋救難隊[航空救難団]
キット付属
(空へ)
UH-60J小松救難隊[航空救難団]現行塗装機
(2機分)
キット付属
(よみがえる空)
UH-60J小松救難隊[航空救難団]
キット付属
(洋上迷彩/救難塗装)
UH-60J 松島救難隊[航空救難団]現行迷彩
百里救難隊[航空救難団]旧塗装
キット付属
(那覇救難隊 創立50周年)
UH-60J那覇救難隊[航空救難団]部隊創設50周年記念塗装機
キット付属
(小松救難隊 自衛隊刺繍パッチ付属)
UH-60J小松救難隊[航空救難団]
アシタの
デカール
(MYKデザイン)
A-272

【限定版】
UH-60J百里救難隊[航空救難団]
新潟救難隊[航空救難団]
A-314
【限定版】
UH-60J 小松救難隊[航空救難団]部隊創設50周年
記念塗装機
芦屋救難隊[航空救難団]
A-328
【限定版】
UH-60J 那覇救難隊[航空救難団]部隊創設40周年
記念塗装機

《専用色塗料セット》

Mr.COLOR特色セット 航空自衛隊機洋上迷彩色
現行の洋上迷彩で使われている、上面色のディープオーシャンブルーFS35045(暗い青)、下面色のシャロウオーシャンブルーFS35109(明るい青)、それにF-2のレドーム色であるグレーFS26231の3色を各々10mlビンに入れてセットにしたものです。

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