ボーイングV-22(MV-22B)オスプレイ

《シリアルナンバー》

V-2291701/91705(ex.169314/169318) 91706/91713(ex.169427/169434)
91714/91717(ex.169655/169658)

《実機について》

 V-22オスプレイは「回転翼機のように垂直離着陸や空中停止でき、固定翼機のように速く遠くに貨物や人を運べる」機体として開発されました。アメリカ4軍共同の「統合垂直離着陸研究」(JVX, Joint-service Vertical take-off/landing eXperimental)として1981年から開発が始められ、試作1号機は1989年3月19日に初飛行しました。その後開発中止の危機や試作・開発段階での4度の重大事故を乗り越えて、現在はアメリカ海兵隊の戦術輸送機MV-22B、空軍の特殊作戦機CV-22Bの配備が進められており、海軍もCOD(艦上輸送)任務用輸送機CMV-22Bとして採用しました(なお陸軍は開発段階で計画から離脱)。ちなみに、通常なら機種記号として輸送任務に「C」、特殊作戦任務に「M」を用いますが、オスプレイの場合は海軍の空母を示す「CV」との混同を避けるため逆にしているようです。

《自衛隊での使用状況》

 防衛省は2014年11月21日、2015年度概算要求に計上している陸上自衛隊のティルト・ローター機として、ボーイングV-22(陸上自衛隊での正式名称はこれ)の採用を発表しました。報道発表ではサブタイプについては触れられていませんが、輸送任務に就くのでMV-22Bとなります。機体の整備は米軍機も併せて富士重工が担当し、木更津駐屯地で行われることとなりました。2017年8月26日には陸自向け1号機とされる画像がネットメディアに掲載されましたが、その塗装は米海兵隊機とも従来の陸自迷彩とも異なる明るい色調のグレイ迷彩(迷彩パターンは米海兵隊機と同じ)になっています。

 国内での配備先の決定は政治的な要因で遅れたため、引き渡し当初の機体はアメリカのMCASニューリバーに留め置かれて乗員訓練に使用されていましたが、2019年12月になってようやく木更津駐屯地に暫定配備されることが決定しました。2020年3月26日には配備部隊となる輸送航空隊が第1ヘリコプター団隷下に新編されています。

 導入予定数は先の中期防衛力整備計画(2014年度〜2018年度)の期間中に17機とされました。2020年5月8日に最初の2機(91701,91705)がMCAS岩国に到着、7月10日に 91705 が、16日に 91701 が木更津駐屯地に移動しました。2021年2月14日には第2陣となる5機(91702,91703,91704,91707,91708)がMCAS岩国に到着し、順次木更津駐屯地に移動しました。第3陣の2機(91706,91709)は2022年2月にMCAS岩国に到着、2022年11月に2機(91714,91715)、2023年3月に3機(91712,91716,90717)、2024年6月には最後の3機(91710,91711,91713)が到着し、17機全機が木更津駐屯地に揃いました。

《性能諸元》

MV-22B
プロップローター直径11.62m,3枚羽根(左右とも)
全幅25.58m(プロップローター含む)
全長17.48m
全高6.73m(エンジンナセル起立時)
主翼面積35.49u
キャビン寸法W1.80m×L7.37m×H1.83m
通常離陸重量21.575kg(垂直離陸時)
最大離陸重量23,859kg(垂直離陸時)
発動機ロールスロイスT406(AE1107Cリバティ)
ターボシャフト×2
出力6,150shp(4,586kW)(1基)
燃料容量1,721U.S.gal.(機内)
巡航速度446km/h
最大速度565km/h
実用上昇限度7,620m
飛行航続距離3,590km(最大)
乗員2名

《配備部隊》

部隊名上位組織
第107飛行隊第1ヘリコプター団輸送航空隊
第108飛行隊

《キット》

※1/350や1/700は2020年8月現在で艦船キットの付属品としてのキット化がほとんどなので、漏れがあると思いますがきちんと調べるのめんどい(爆)のでご容赦ください。m(_ _)m
1/48 ホビーボスMV-22B2021年2月発売。ようやくヨンパチでも21世紀のキットが出ました。陸自型なんて出ないでせうね。しかしこのお値段(25KJPYくらい)はどうなんだ…。(;''∀'')
イタレリMV-22BキットNo.825は試作機段階でキット化したため現在の量産型とはかなり異なっていますが、1990年代に出た現行のキットNo.2622(さらに2012年には現行パッケージにデザイン替え)は多少は量産型に近づいているようです。
1/72 ハセガワV-22
【限定版】2020年10月に『陸上自衛隊 輸送航空隊』(02359)として発売されたパッケージで、後部胴体上面に追加されたアンテナがレジンパーツとエッチングパーツで入りデカールにS/Nも入ったので、ようやくきちんとした陸自V-22が作れるようになりました。その後2024年8月には、2023年10月の木更津駐屯地航空祭に展示された、第108飛行隊の部隊マークを付けた機体が再現できる『陸上自衛隊 第108飛行隊 木更津スペシャル 2023』(02477)も発売されています。なお、先に2018年4月に発売された『陸上自衛隊 初号機』(02277)には、アメリカで試験中の陸自向け1号機が初公開された時の写真にS/Nが書かれていなかったためデカールに機番が入っておらず、また背中のアンテナ類のパーツもありませんでした。
 ちなみに、これより前の2014年12月には限定版で陸上自衛隊架空仕様の『陸上自衛隊』(02129)が発売されたほか、2015年9月に海上自衛隊のMV-22B架空仕様『海上自衛隊』(02146)、2014年9月に航空自衛隊のCV-22B架空仕様『航空自衛隊』(02121)も発売されています。
 元の米海兵隊型の定番品キットは2013年7月発売で、現行のV-22量産型を作るのならコレ一択でせう。
イタレリMV-22BキットNo.175は1989年に出たもので、試作機段階でキット化したため現在の量産型とはかなり異なっています。1996年にキットNo.068として箱替えされましたが(さらに2012年には現行パッケージにデザイン替え)中身は変わっていません。
ドイツレベルMV-22B2015年暮れに発売されたキットですが、中の人は今さらのイタレリです。なぜハセガワじゃない?
テスターV-22【絶版】1990年発売。上記イタレリキットのパッケージ替えです。
エッシーMV-22A【絶版】1989年に4軍共同の試作機HV-22Aとして発売されたキットで、空軍のCV-22A、海軍のPV-22A、海兵隊のMV-22Aのパッケージも出ていました。中身はもちろん試作機そのままです。
エッシー/
アーテル
SV-22A【絶版】上記エッシーのパッケージ替えなので、中身はもちろん試作機そのままです。
ホビークラフト
カナダ
V-22
【絶版】1980年代に出ているので間違いなく試作機のモデライズでせう。どこかのコピーの可能性もありそうな。
1/144 トミーテックMV-22B2014年4月発売。『技MIX・航空機シリーズ』のアイテムのひとつです。従来品と同様の塗装・マーキング済み組み立てキットですが、元になる食玩がないので新たに金型を起こしています。陸上自衛隊の架空仕様のキットが限定版で2015年1月に発売されました。
エフトイズ・
コンフェクト
V-22【限定版】番外編。2021年12月発売の『ヘリボーンコレクション9』のアイテムのひとつで、今度はきちんと陸自機の塗りになっています。機内に搭載される車両(ファントムバジャー?)付き。
MV-22B
【限定版】番外編。2006年8月発売の『ヘリボーンコレクション3』のアイテムのひとつになっているもので、米海兵隊仕様と陸上自衛隊仕様がありました。当時は陸上自衛隊が採用するなどまったく想定されていなかったので架空ですが。また、同じ月の夏ワンフェス限定で架空の海上自衛隊南極観測隊支援機仕様が発売されました。
MV-22B【限定版】番外編。2013年2月発売の『ヘリボーンコレクション5』のシークレットアイテムになっているものですが、こちらは上記と違って米海兵隊仕様のみです。
MV-22B【限定版】2013年4月発売。上記アイテムが米海兵隊仕様で2機入り塗装済み半完成品として発売されていました。
1/350 フジミV-22
(MV-22B)
2020年1月発売で4機入り。キット自体は下記4機セットと同じですが、プラの成形色がグレーに変更されています。陸上自衛隊デカール入り。
MV-22B【絶版】2013年10月発売で4機入り。クリヤープラで成形されています。下記「いせ」の搭載機を独立させたものと思はれ。
MV-22B2013年6月発売の護衛艦「DDH-182いせ」のキットに搭載機として入っています。
ブロンコ MV-22B2012年発売で2機入り。クリヤープラで成形されています。下記「ニューヨーク」の搭載機を独立させたものと思はれ。
MV-22Bアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
トランペッターMV-22B2013年発売で3機入り。クリヤープラで成形されています。下記「ニューヨーク」の搭載機を独立させたものと思はれ。
モノクローム
(トランペッター)
MV-22Bアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
1/450 ハセガワMV-22B護衛艦「DDH-181ひゅうが」のキットに搭載機として入っています。
1/700 ピットロードV-22[2024年7月発売予定]「自衛隊航空機セット 2」(S77)に付属。完全新金型でコーション類のデカールも付いています。
アオシマV-22[2024年9月発売予定]「陸上自衛隊ヘリコプターセット」(556)に付属。海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦「DDH-181ひゅうが 離島防衛作戦」のキットに搭載機として入っていますが、これを独立させたものかもしれません。
ハセガワV-22「海上自衛隊 艦載機セット(護衛艦 いずも用)」と、ヘリコプター搭載護衛艦「DDH-183いずも」のキットに搭載機として入っています。“海上自衛隊仕様”となっているのがアレなんですが。(^^;)
ホビーボスMV-22Bアメリカ海軍強襲揚陸艦「LHD-1ワスプ」「LHD-2エセックス」「LHD-3キアサージ」「LHD-4ボクサー」「LHD-5バターン」「LHD-6ボノム・リシャール」「LHD-7イオー・ジマ」、ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
ドラゴン
(サイバーホビー)
MV-22Bアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-17サン・アントニオ w/MV-22」のキットに搭載機として入っています。
ドイツレベルMV-22Bアメリカ海軍強襲揚陸艦「LHD-3キアサージ」のキットに搭載機として入っています。
オレンジホビーMV-22レジン製4機入りでローター等のエッチングパーツ付き。
ラーセナルMV-22レジン製2機入りでローター等のエッチングパーツ付き。

《デカール》

1/48 カラカルモデルズCD48164V-22
(MV-22B)
陸自向け2号機
1/72 ハセガワキット付属
(陸上自衛隊 輸送航空隊)
【限定版】
V-22
(MV-22B)
陸自向け1〜3,5号機
キット付属
(陸上自衛隊 初号機)
【限定版】
V-22
(MV-22B)
陸自向け1号機(S/Nなし)

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