MDヘリコプターズ(ヒューズ)OH-6J/OH-6D

《シリアルナンバー》

OH-6J
31001/31117
OH-6D
31121/31313
NVG対応機:31192,31196,31199,31213,31220,31224,31247/31278,
31280/31282,31284/31292
NVG対応・FLIR搭載機:31183,31279,31283,31293/31313

《実機について》

 ヒューズ社(後にマクダネル・ダグラス・ヘリコプターズ社、ボーイング社、民間ヘリコプター部門のみベル社を経て現・MDヘリコプターズ社)が開発しアメリカ陸軍の軽観測ヘリコプター(LOH)競争試作に採用された機体で、試作機YOH-6Aカイユースの1号機は1963年2月27日に初飛行しました。卵形で視界のよい胴体、47゚傾けて装備されたアリソン250-C18A(T63-A-5A)(317shp)エンジンと胴体後端に開いた排気口、直径を詰めた4枚羽根ローターなどの特徴を持っており、1970年8月までに1,434機が生産されました。

 またエンジンをパワーアップしたアリソン250-C20(400shp)に換装、ローターの羽根数を増やし尾翼をT字型に改めたOH-6C、さらにエンジンをアリソン250-C20B(420shp)にパワーアップ、メインローターを4枚から5枚に増やしT尾翼を装備したOH-6Dが製作され、D型の原型は1974年8月に初飛行しました。OH-6Dはアメリカ陸軍には採用されませんでしたが、日本、イタリア、アルゼンチンでもライセンス生産されました。

 さらに、胴体を大型流線型化し、前方視界を良くし後席の居住性を向上させ、騒音軽減のため尾部ローターを2枚から4枚に増やした民間型のモデル500Eが1982年1月に初飛行し、現在はこのタイプが生産されています。OH-6A/C/Dに相当する民間型のモデル500、500C、500Dの各型や、民間型モデル500を発展させた軍用型モデル500M、モデル500Dを発展させた軍用型モデル500MDなどもあります。

《自衛隊での使用状況》

 モデル500は、日本では川崎重工(KHI)がライセンス生産を行い、陸上自衛隊と海上自衛隊に採用されました。陸上自衛隊ではモデル500MをOH-6Jとして採用、1969年3月10日から1979年までに117機を導入しました。続いて1980年度の引き渡し分からはモデル500MDをOH-6Dの名称で採用し、1998年3月12日にはライセンス生産最終号機となる193号機(#31313)を受領しました。127号機(#31247)からはNVG(暗視ゴーグル、陸自では『個人暗視眼鏡』)対応型となっており、既存の機体も一部が改修されています。また、機首にFLIR(前方監視赤外線装置、陸自では『近距離暗視装置(ヘリ用)』)を搭載した機体もあります。

 現在ではOH-6Jは全て退役しています。OH-6Dは後継機であるOH-1と交代して、各対戦車ヘリコプター隊から機種改編が進んでいますが、防衛省がOH-1の調達を38機で打ち切る方針を固めたため、各師団/旅団や各方面隊などに配備されているOH-6Dが今後どうなるのかは不透明な情勢です(結局減勢するに任せた模様)。なお、航空学校各校にて航空学生教育に使用されているOH-6Dの後継機となる「新練習ヘリコプター」は、2009年度予算で1機の調達が予定されていますが、2010年2月10日にエンストロム480Bが選定されたと防衛省から発表がありました。

 2020年3月26日、東部方面ヘリコプター隊本部付隊(立川)のOH-6D(#31311)がラストフライトを行い、OH-6Dは全機が退役しました。

《性能諸元》

OH-6JOH-6D
主回転翼直径8.03m,4枚羽根直径8.05m,5枚羽根
胴体全幅2.07m
胴体全長7.01m7.62m
全高2.48m2.64m
キャビン寸法W1.37m×L2.45m×H1.32m
運用重量533kg654kg
最大離陸重量1,090kg1,361kg
発動機アリソン250-C18A
ターボシャフト×1
アリソン250-C20B
ターボシャフト×1
出力317shp/35,000rpm420shp/35,000rpm
燃料容量61gal(機内)63gal(機内)
最大速度240km/h(外部搭載なし)
巡航速度210km/h
実用上昇限度16,000ft14,000ft
飛行航続距離608km389km
武装なし
乗員2名+乗客3名

《配備部隊》

(旧部隊名→)部隊名(旧上位組織→)上位組織
第1飛行隊[I](東部方面航空隊→)第1師団
第2飛行隊[II](北部方面航空隊→)第2師団
第3飛行隊[III](中部方面航空隊→)第3師団
第4飛行隊[IV](西部方面航空隊→)第4師団
第5飛行隊[V](北部方面航空隊→第5師団→)
 第5旅団
第6飛行隊[VI](東北方面航空隊→)第6師団
第7飛行隊[VII](北部方面航空隊→)第7師団
第8飛行隊[VIII](西部方面航空隊→)第8師団
第9飛行隊[IX](東北方面航空隊→)第9師団
第10飛行隊[X](中部方面航空隊→)第10師団
第11飛行隊[XI](北部方面航空隊→第11師団→)
 第11旅団
(第12飛行隊→)
 第12ヘリコプター隊本部付隊[XIIH]
(東部方面航空隊→第12師団→)
 第12旅団
第13飛行隊[XIII](中部方面航空隊→第13師団→)
 第13旅団
第14飛行隊[XIV]第14旅団
北部方面ヘリコプター隊本部付隊[NH]北部方面航空隊
東北方面ヘリコプター隊本部付隊[NEH]東北方面航空隊
東部方面ヘリコプター隊本部付隊[EH]東部方面航空隊
中部方面ヘリコプター隊本部付隊[MH]中部方面航空隊
西部方面ヘリコプター隊本部付隊[WH]西部方面航空隊
第1対戦車ヘリコプター隊本部付隊[IATH]北部方面航空隊
第2対戦車ヘリコプター隊本部付隊[IIATH]東北方面航空隊
第3対戦車ヘリコプター隊本部付隊[IIIATH]西部方面航空隊
第4対戦車ヘリコプター隊本部付隊[IVATH]東部方面航空隊
第5対戦車ヘリコプター隊本部付隊[VATH]中部方面航空隊
(第1ヘリコプター隊本部付隊[IHB]→)
   第102飛行隊[IHB]
第1ヘリコプター団
(第2ヘリコプター隊本部付隊[IHB]→)
   第102飛行隊[IHB]
明野本校[S]航空学校
(教育支援飛行隊→)飛行教導隊[SD]
(宇都宮分校→)宇都宮校[SU]
(霞ヶ浦分校→)霞ヶ浦校[SK]
第14旅団は香川県善通寺駐屯地にある第2混成団が2006年3月に改編されてできた旅団です。第14飛行隊は2010年3月26日に新編された部隊で、海上自衛隊徳島航空基地(徳島空港)内に北徳島分屯地を開設して配置されました。

《部隊マーク》

第1師団第1飛行隊
制定不明(2002年11月に確認)
図柄白で“Division 1”を表す「D1」の文字
(UH-1H/Jと同マーク)
記入位置テイルマスト
(第5師団→)第5旅団第5飛行隊
制定不明
図柄首のところに水色で「空駆」と書かれた白い鷲の頭をデザインしたマーク
(UH-1H/Jと同マーク)
記入位置エンジン・エアインレット・フェアリング
第7師団第7飛行隊
制定不明
図柄「7」を表すローマ数字の黒い「VII」をバックに、赤で「七飛」、白で「SAPPORO」と書いたマーク
記入位置エンジン・エアインレット・フェアリング
第8師団第8飛行隊
制定不明
図柄飛行隊が置かれている高遊原分屯地のある熊本にちなんだ、加藤清正の馬上姿のシルエットと「8」を表した兜の前立てをデザインしたマーク
(UH-1H/Jと同マーク)
記入位置エンジン・エアインレット・フェアリング
第10師団第10飛行隊
制定不明(2008年10月には描かれていた様子)
図柄第10師団司令部が所在する守山駐屯地がある名古屋市にちなみ、市のシンボルである名古屋城のシャチホコをデザインしたマーク
(UH-1H/Jと同マーク)
記入位置エンジン・エアインレット・フェアリング
(第11師団→)第11旅団第11飛行隊
制定不明
図柄「サムライ飛行隊」 十一をあわせ、「士(サムライ)」とした。サムライ魂の気風と伝統を継承し、航空ヘルメットを兜にみたて、体が滅んでも、サムライ魂は永遠に続く。(第11旅団webサイトより)
 黒字に白のグラデーションで、ヘリパイ用ヘルメットと武士の兜が合わさったものを被ったドクロ(?)を描き、その上に「11th AVATION」、下に「SAMURAI」と書かれた盾型のマーク
記入位置テイルマスト
第12ヘリコプター隊本部付隊
配備当初はノーマーク
制定不明(2005年10月に確認)
図柄黄色い鷲が赤白の日本刀を握っているマーク
記入位置エンジン・エアインレット・フェアリング
北部方面ヘリコプター隊本部付隊
制定不明
図柄黄の丸の中に緑の鉄兜を被って黒いサングラスをかけ双眼鏡を持った蜂のイラストを白/黄で入れ、「NORTHERN ARMY HELICOPTER」「TEINE FLIGHT」の文字を上下にアレンジしたマーク
記入位置エンジン・エアインレット・フェアリング
東北方面ヘリコプター隊本部付隊
制定不明(2005年8月に確認)
図柄白地の丸に伊達家の兜とそれを丸く囲む紫の仙台笹を描き、左右に翼を配した水色の丸で囲ったマーク
記入位置機首先端
図柄クリーム地の丸に馬上の正宗のシルエットを白で描き、OH-6Dの側面形を重ねたマーク
記入位置乗降ドア後方左右

《キット》

1/20 ニチモヒューズ500
エンジン内蔵のフルディスプレイ形態か、台座にモーターを内蔵したローター回転形態の選択式でフィギュア4体入り。デカさに圧倒されます。
1/24 ホビークラフトMD500D
イデアMD500D韓国製。中身は同社の他のキット同様ホビークラフトのもののようですが、箱の横に印刷されているヘリキットのラインナップは全部ハセガワのもの(^_^;)。訳のわからないメーカーです。
1/32 レベルモノグラムOH-6A元レベルのキット
グンゼ/レベルOH-6A【絶版】陸上自衛隊デカール入り
ドイツレベルヒューズ500C
正徳福OH-6A中国製。中身は謎(^◇^;)
MD500
1/35 キティホークモデルAH-6J/MH-6J
2017年10月発売の中国製。攻撃型/特殊作戦型で胴体やドアのパーツがそれ用に作られているので、そのままではフツーの観測型は望み薄かもです。(´・ω・`)
ドラゴンOH-6A
MD500D
ハセガワ/ドラゴンOH-6D
【限定版】ドラゴンの箱・デカール替え
1/48 AMPOH-6A
2009年4月発売、ウクライナ製の簡易インジェクションキットでエッチングパーツ入り。
タミヤOH-6A
【絶版】
ハセガワ MD500D
OH-6D
【限定版】ヒューズ500(MD500D)として出たキットのデカール替え。最初に出たキット(QP101)はただのデカール替えだけでしたが、2012年3月に発売されたバージョン(09975)は機首下面左右のライトや胴体下面のFLIRなどがレジンパーツ化されています。
【デカール替えキット】
●“ラスト スカイホーネット”
(2014年北宇都宮駐屯地航空祭に登場した、アクロチーム”スカイホーネット”OH-6D退役記念塗装機デカール入り)
●“ウインターカムフラージュ”
(東部方面ヘリ隊と第5飛行隊の冬季迷彩機が制作可能)
●“陸上自衛隊/台湾空軍”
(第10飛行隊の2018年明野駐屯地祭記念塗装機が作れるレジンパーツ&デカールと、台湾空軍の500MD ASW機が作れるプラパーツ&デカール入り)
●“明野スペシャル2019” w/女性自衛官 フィギュア
(第10飛行隊の2019年明野駐屯地祭記念塗装機が作れるレジンパーツ&デカールと1/20の女性自衛官フィギュア入り)
●“シャークティース”[2024年3月発売予定]
(第9飛行隊の2011年三沢基地航空祭記念塗装機が作れるレジンパーツ&デカール入り)
フジミMD500D/OH-6D
クイックブーストOH-6A

(レジン製改造パーツ)
アカデミーOH-6D用のチェコ製改造パーツ。
1/72 イタレリOH-6A
AH-6A
タミヤOH-6A
ウォーバードシリーズ。イタレリの箱替えです。AH-6AはOH-6Dの武装型で、機体はOH-6Dと同じです。
AH-6A
エレールOH-6D
『COMMANDO』という装甲車やトラック、ジープ(フランスだから軍用小型四駆車としたほうがいいのかな(^◇^;))などとのセットに入っています。細部は大甘です。
AZモデルOH-6J
2013年6月発売のチェコ製簡易インジェクションキットです。下記OH-6Dと違ってパッケージには1機しか入っていませんが、ウインドシールドのパーツは同じなので使わないDA用も入ってます。デカールは陸自2種と海自1種、それに所沢の航空発祥記念館に展示されている機体が入っています。
OH-6D
2011年7月発売のキットで、こちらは2機入りです。ウインドシールドのパーツが2種類入っていて、OH-6DとOH-6DA(MD500E)双方が作れるようになっています。陸上自衛隊と海上自衛隊のデカール入り。でもちゃんと作れるものなのか、甚だ不安ではあります(爆)(→作るのめちゃくちゃ大変(´;ω;`))。
プロフィラインHughes 500D
(OH-6D)
2010年9月発売のチェコ製の簡易インジェクションキット。上記AZモデルとは全くの別物です。こちらには陸上自衛隊デカールは入ってません。
1/85 ハセガワOH-6J
【絶版】『コインシリーズ』という、1980年に出たはめ込み式簡単組立1個100円シリーズのひとつです。スケールがハンパなのは箱に合わせられているためです。中身は、細部ははめ込み式だけに甘いですが、きちんとスケールモデルしてます。
ヒューズ500
アクトハセガワOH-6J
【絶版】『ベーシックひこうき200シリーズ』という、1994年に出たはめ込み式簡単組立1個200円シリーズのひとつです。中身は上の『コインシリーズ』と同じです。
ヒューズ500
ハセガワヒューズ500【絶版?】『ワンアワーコインシリーズ』という、塗装済みではめ込み式簡単組立1個400円シリーズのひとつです。中身は塗装済みなこと以外は上の『コインシリーズ』『ベーシックひこうき200シリーズ』と同じですが、陸自バージョンはなくなりました。
1/100 日東ヒューズ500
【絶版】このスケール唯一のキットなので入れときました。クリヤーパーツは正面のウインドシールドだけです。
1/144 FEレジンOH-6Aチェコ製のレジンキット。入手は困難です。
エフトイズ・
   コンフェクト
OH-6D
【限定版】番外編。2005年9月発売の『ヘリボーンコレクション2』のアイテムのひとつになっているものです。塗装済み完成品なので番外としましたが、前回同様プラキットと並べても遜色のない出来です。なお同スケールの高機動車がオマケに付いてきます。また、シークレットアイテムは2004年に登場した第3飛行隊の八尾駐屯地創設50周年記念トラ塗装機です。
1/700 ドラゴンMD500
【絶版?】『ソビエトミサイル艇セット』に入っています。

《デカール》

1/32グンゼ/レベルキット付属
【絶版】
OH-6J第1飛行隊
部隊記号のみ
フライングパパス32M002OH-6J東部方面ヘリコプター隊本部付隊
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
1/35 ハセガワ/ドラゴンキット付属
【限定版】
OH-6D第7飛行隊
第11飛行隊
北部方面ヘリコプター隊本部付隊
航空学校霞ヶ浦分校
部隊マークのない航空学校霞ヶ浦分校を除いて部隊マーク入り。インストの「第12飛行隊」は「第11飛行隊」の誤りです。
GANKデカールNo.GA101OH-6D航空学校宇都宮分校
ドラゴンのMD500Dに使用します。資料用生写真10枚入り。
1/48 タミヤキット付属
【絶版?】
OH-6J第10飛行隊
ハセガワキット付属
【限定版】
OH-6D航空学校宇都宮分校
第5飛行隊
第1対戦車ヘリコプター隊本部付隊
いずれも部隊記号のみ
キット付属
(2012年3月版)
【限定版】
OH-6D第7飛行隊
(部隊創設50周年記念塗装)
第12飛行隊
東部方面ヘリコプター隊本部付隊
フジミキット付属OH-6D第1飛行隊
第5飛行隊
第10飛行隊
いずれも部隊記号のみ
フライングパパス48M048OH-6J東部方面ヘリコプター隊本部付隊
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
1/72 イタレリキット付属OH-6D第1対戦車ヘリコプター隊本部付隊
タミヤ
AZモデルキット付属OH-6J航空学校明野本校
東部方面航空隊
OH-6Dより後から出ただけに、こちらの日本語はほぼカンペキでそのまま使えるレベルです。
キット付属OH-6D航空学校明野本校
航空学校宇都宮校
チェコ人のデザインした「陸上自衛隊」「危険」「近づくな」の文字は悲しすぎます(笑)。巨大シャークマウス機は「SD」になっていますが、これは2008年の北宇都宮駐屯地記念行事に展示された宇都宮校所属機なので「SU」が正解です。てか、それ以前に部隊記号やシリアルナンバーの表記がメチャクチャ。要するにデカールのままではちゃんと作れません。(^◇^;)
フライングパパス72M043
OH-6J東部方面ヘリコプター隊本部付隊
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
1/85 ハセガワキット付属
【絶版】
OH-6J第10飛行隊
アクトハセガワキット付属
【絶版】
OH-6J第10飛行隊

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