シコスルキーUH-60JAブラックホーク

《シリアルナンバー》

UH-60JA
43101/43140

《実機について》

 H-60(社内名称S-70)はアメリカ陸軍のUH-1後継機として開発されたターボシャフト双発の汎用ヘリコプターで、原型機YUH-60Aは1974年10月17日に初飛行しました。現在アメリカ陸軍では、エンジンを強化し排気口にIRサプレッサーやIRジャマーを装備した発展型UH-60Lが主力になっています。

 アメリカ海軍はSH-2の後継機となるLAMPS III(多用途艦載機)として、UH-60を艦載機仕様に改めたSH-60Bの採用を決定し、1979年12月12日に原型機が初飛行しました。SH-60Bの機体はUH-60Aを基本にしていますが、多くの点で異なっています。胴体は主キャビン前方の窓と胴体左側のドアがなくなり、大きな1枚ガラスの窓が取り付けられました。窓の後方にはソノブイランチャー(25発収容)が設けられています。胴体右側キャビンドア上方には吊り上げホイストが付けられました。胴体側面下方には魚雷などを搭載するためのパイロンが設置され、機首下面左右と後部胴体左右側面のESMアンテナフェアリングが設けられました。また海水の浸入防止のため機体全体が密閉構造になっています。ローターブレード、テイルブーム、水平安定板は艦上での運用のため折り畳めるようになっており、尾輪も狭い離着艦スペースに合わせ前進させた位置に取り付けられています。後には空母搭載用の対潜哨戒型SH-60F(1号機初飛行1987年3月19日)やCSR(戦闘捜索救難)&戦闘支援型HH-60H(1号機初飛行1988年8月17日)も作られていますが、現在SH-60BとSH-60Fを統合したSH-60Rの開発が進められています。

 アメリカ空軍はHH-3Fの後継機となるCSRヘリコプターとして1982年にHH-60Dを採用しました。HH-60Dでは機首右側に空中給油ブロープが付いたほか、捜索時の視界確保のためと、コンバット・レスキューを想定しキャビンに乗るガナーの射撃の障害にならないために、ESSS(機外搭載補助システム)と呼ばれる機外搭載用小翼がUH-60AのESSSとは違って大きく上半角のついたものになっています。しかし予算不足のため1985年に計画は中断され、1992年になって空軍はUH-60AベースのCSR型HH-60Gと、UH-60Lベースの特殊作戦型MH-60Gの採用を決めました。HH/MH-60Gでは機首に気象レーダーとFLIRを装備(空自/海自型とは形状が異なります)、排気口にはIRサプレッサーやIRジャマーを装備しています。

 H-60/S-70系列はアメリカ3軍・沿岸警備隊のほか世界23ヶ国で使用されており、イギリス、韓国、日本ではライセンス生産も行われています。

《自衛隊での使用状況》

 自衛隊では、海上自衛隊がSH-60Bベースの艦載対潜型SH-60Jを、航空自衛隊海上自衛隊がUH-60AベースのSAR(捜索救難)型UH-60Jを、陸上自衛隊がUH-60Lベースの多用途型UH-60JAを採用しました。

 UH-60JAUH-1Hの後継機としてUH-1Jとともに採用されたもので、エンジンにT700-GE-701C(1,800shp)を搭載したアメリカ陸軍のUH-60Lに準じた機体に、空自/海自のUH-60Jと同様(形状は若干異なります)の気象レーダー、FLIR、GPS、NVGなどの装備を加えたものです。増加タンクを吊り下げるESSSもUH-60J同様大きく上半角のついたタイプなので、外形的にはUH-60Jの機首のFLIR取付部の形状を若干変更し、機首上下面にワイヤーカッター、排気口にIRサプレッサーとIRジャマー(プロビジョンのみ)を装備しテイルブーム側面にチャフ/フレアディスペンサーを搭載したような形態になっています。また、那覇駐屯地の第101飛行隊に配備される機体(2002年10月現在で#43107/43111/43116/43119が該当)は沖縄仕様機で、洋上飛行に対応するためコクピット脇の窓が内側から簡単に脱出できるよう、細い窓枠がないタイプになっているほか、主脚基部に緊急用フロートが収納されたため通常型より5cmほど外に張り出しています。そのほか、2008年3月にはキャビン内の左右に機関砲を固定装備した武装型、通称「ドアガン飛龍」が登場しました。

 機体は三菱重工でライセンス生産が行われ、1号機は1997年8月19日に初飛行、1998年1月22日に陸上自衛隊に引き渡されました。合計で70機程度の調達が見込まれていましたが、2016年度に #43140 が納入されて以降は納入が途絶えています。これが調達打ち切りになった結果なのか、それとも単に他に予算が取られて発注が止まっているだけなのかは定かではありませんが、空自と海自の同系機は発注が続いているのでまだ希望はあるのかもしれません。(^^;

《性能諸元》

UH-60JA
主回転翼直径16.36m,4枚羽根
胴体全幅2.7m
胴体全長15.26m
全高5.23m
運用重量5,250kg
最大離陸重量10,700kg
発動機ゼネラル・エレクトリックT700-GE-701C
ターボシャフト×2
出力1,800shp(1基)
最大速度300km/h(外部搭載なし)
巡航速度278km/h
実用上昇限度19,000ft
海面上昇率1,290ft/min
飛行航続距離1,295km
乗員3名+14名(最大)

《配備部隊》

部隊名上位組織
第8飛行隊[VIII]第8師団
第12ヘリコプター隊第1飛行隊[XIIH]第12旅団
東部方面ヘリコプター隊[EH]東部方面航空隊
中部方面ヘリコプター隊[MH]中部方面航空隊
西部方面ヘリコプター隊第1飛行隊[WH]西部方面航空隊
(第101飛行隊[IB]→第15飛行隊[XV]→)
            第15ヘリコプター隊[XVH]
(第1混成団→)第15旅団
第102飛行隊[IHB]第1ヘリコプター団
明野本校[S]航空学校
(教育支援飛行隊→)飛行教導隊[SD]
(霞ヶ浦分校→)霞ヶ浦校[SK]
今後もUH-1Hと交替して各ヘリコプター隊などに配備される予定となっています。なお、2010年3月26日には第1混成団が改編されて第15旅団となり、隷下の第101飛行隊も第15飛行隊に改編されました。その後さらに2013年3月26日付けで第15ヘリコプター隊に改編されています。

《部隊マーク》

第8師団第8飛行隊
制定不明
図柄飛行隊が置かれている高遊原分屯地のある熊本にちなんだ、加藤清正の馬上姿のシルエットと「8」を表した兜の前立てをデザインしたマーク
(UH-1H/Jと同マーク、ただしモノクロ)
記入位置テイルブーム後端
第12ヘリコプター隊第1飛行隊
配備当初はノーマーク
第12ヘリコプター隊
マーク
制定不明(2002年8月に確認)
図柄黄色い鷲が赤白の日本刀を握っているマーク
記入位置テイルブーム後端
第1飛行隊マーク制定不明(2002年8月に確認)
図柄向かい合う2本の稲妻に絡みつく竜、下部に「12HEL UNIT 1AVATION」の文字を配したエンブレム型のマーク(配色は2種類?色変更?)
記入位置コクピットドア後方の胴体側面
西部方面ヘリコプター隊第1飛行隊
配備当初はノーマーク
制定不明(2008年10月に確認)
図柄両手で爆弾を持つ西洋ドラゴンをモチーフにしたマーク
記入位置コクピットドア側面
航空学校霞ヶ浦校
配備当初はノーマーク
制定不明(2006年2月に確認)
図柄紫地のエンブレム内に黄色い稲妻を背景にしたUH-60JAのシルエットをあしらい、「飛龍」「AVATION SCHOOL KASUMIGAURA」「MAINTENANCE AND FLIGHT CREW OF BLACKHAWK」「UH-60JA HIRYU」の文字を配置
記入位置テイルブーム後端

《キット》

1/35 S.L.B.UH-60JA
(レジン製
改造パーツ)
アカデミーUH-60L用。機首まわりとESSSをパーツ化し機番や「陸上自衛隊」の文字の簡易デカールも付属しています。
1/48 コブラUH-60J
(レジン製
改造パーツ)
アカデミーHH-60D用。空自/海自のUH-60Jの機首まわりが再現されています。UH-60Jと若干異なるFLIR取付部の形状を修正しチャフ/フレアディスペンサーを自作するなどすればほぼ同じ外形になるのではないかと思います。なおデカールはついていません。
1/72 フジミUH-60JA
空自型UH-60Jのキットに陸上自衛隊デカールを入れただけのものなので、機首のFLIR取付部の形状が変更されていないほか、IRサプレッサーはもちろん胴体側面のチャフ/フレアディスペンサー、ワイヤカッターなども再現されていません。
なお、2002年3月にデカールを追加し新価格で再販されました(箱はほとんどそのまま)。
ハセガワUH-60JA
【限定版】限定版で出ていた空自型UH-60Jのキットに陸上自衛隊デカールを入れただけものなので、メタルパーツで入っている機首のFLIR取付部の形状が変更されていないのはもちろん、IRサプレッサーや胴体側面のチャフ/フレアディスペンサー、ワイヤカッターなども再現されていません。
イタレリ1/72のMH-60K“ナイトホーク”のキットにはIRサプレッサー、チャフ/フレアディスペンサー、ワイヤカッターのパーツがありますので、これにフジミの機首パーツとデカールを流用しFLIR取付部の形状を修正したほうがいいものができるような気がします。
1/144プラッツ UH-60JA2022年1月発売。下記エフトイズのパーツにエッチングパーツと陸自デカールを入れたもので1機入り。ただし機首周りは空自型のまま、排気口周りはエッチングパーツで組むようになっています。難易度高し。(´Д`;)
エフトイズ・
コンフェクト
UH-60JA
【限定版】番外編。2006年8月発売の『ヘリボーンコレクション3』のアイテムのひとつになっているもので、型はプラッツのキットと同じですが素材が異なります。塗装済み完成品なので番外としました。元キットが空自のUH-60Jなので細部があちこち異なります。
UH-60JA
【限定版】番外編。2011年10月発売の『ヘリボーンコレクションSPECIAL Ver.』のアイテムのひとつ。『ヘリボーンコレクション2/3』からのアソートで、モノはたぶん同じです。
1/350 フジミUH-60J護衛艦「DDH-181ひゅうが」「DDH-182いせ」のキットに搭載機として入っています。いちおう海自型ですが小改造と塗装で陸自型にできるでせう。
1/700ピットロードUH-60J/JA「世界の軍用ヘリコプター」(S54)、「世界の軍用ヘリコプター(1)」(S25)【絶版】に付属。もちろんプラ製です。
UH-60J【絶版】「自衛隊ヘリコプターセット」に付属。ホワイトメタル製。ほんの少々の改造でUH-60JAにできます。
アオシマUH-60JA[2024年9月発売予定]「陸上自衛隊ヘリコプターセット」(556)に付属。その他「トモダチ作戦&海上自衛隊護衛艦はるさめ」「トモダチ作戦&海上自衛隊護衛艦たかなみ」にも空自型として付属。小改造と塗装で陸自型にできるでせう。

《デカール》

1/35S.L.B.改造パーツ
付属
UH-60JA機番のみ
フライング
パパス
35M007UH-60JA航空学校霞ヶ浦校
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
1/48フライング
パパス
48M016UH-60JA航空学校霞ヶ浦校
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
1/72 フジミキット付属
(2002年3月再販版)
UH-60JA航空学校
教育支援飛行隊
第12ヘリコプター隊第1飛行隊
[第12旅団]
部隊記号のみ
発売当初のインストでは部隊記号の貼付位置が間違っていましたが、2002年3月再販版では正しい位置に直っています。
ハセガワキット付属
【限定版】
UH-60JA国籍マークと機番のみ
フライング
パパス
72M034UH-60JA航空学校霞ヶ浦校
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
1/144 プラッツキット付属UH-60JA西部方面ヘリコプター隊第1飛行隊
[西部方面航空隊]
飛行教導隊[航空学校]
アシタの
デカール
(MYKデザイン)
A-272

【限定版】
UH-60JA第12ヘリコプター隊第1飛行隊
[第12旅団]

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