ボーイング・バートル/川崎
        KV-107II-4/II-4A/IIA-4『しらさぎ』

《シリアルナンバー》

KV-107II-4
51701/51735,51737/51742
KV-107II-4A
51736
KV-107II-A4
51801/51818

《実機について》

 原型となったのはバートル社(後にボーイング・バートル社を経て現・ボーイング社)が自社開発したターボシャフト双発タンデムローターヘリコプターのモデル107で、1958年4月22日に初飛行しました。これに目をつけたアメリカ陸軍は兵員輸送ヘリコプターYHC-1A(後にYCH-46C)として評価テストを行いましたが結局採用されませんでした。そこでバートル社ではエンジンをパワーアップし各部に改良を加えたV-107IIを製作し1960年10月25日に初飛行、これが1961年2月にアメリカ海兵隊の強襲揚陸作戦用ヘリコプターHRB-1(後にCH-46A)として採用されました。

《自衛隊での使用状況》

 日本では川崎重工がライセンス生産権を獲得し1962年5月にノックダウン生産1号機を進空させました。自衛隊では、海上自衛隊が機雷掃海型としてKV-107II-3を、陸上自衛隊が侵攻/輸送型としてKV-107II-4を、航空自衛隊が救難型としてKV-107II-5を採用しました。
 陸上自衛隊では1966年4月5日から1972年にかけて41機の川崎重工製KV-107II-4の引き渡しを受け、続いて1972年から1981年11月12日までにエンジンをパワーアップしたCT58-IHI-140(1,400shp)に換装したKV-107IIA-4を18機導入しました。キャビンの床面を補強しローラーコンベアを設置、電動ウィンチを使って重機材を後部扉から引き込み搭載できるようになっているほか、胴体下面にはカーゴスリング(4.5t)を装備し重量物の運搬が可能となっています。また、胴体両側に80gal増槽を装着していますが、KV-107IIA-4のうち沖縄の第101飛行隊に配備された機体は海自/空自型と同様の500galスポンソンタンクを装備したほか、一部は後に機首に気象レーダーを装備しました。その他、KV-107II-4Aと呼ばれるVIP仕様機も1機だけ製造されました。この機体は民間向けの旅客型に準じた仕様で胴体側面に角窓が並んでいます。
 KV-107II-4/IIA-4は2002年3月25日をもって全機退役し、CH-47J/JAとの交代が完了しました。また、KV-107II-4Aは1996年4月に退役しています。自衛隊での愛称は『しらさぎ』です。

《性能諸元》

KV-107II-4
主回転翼直径15.24m,3枚羽根(前後とも)
胴体全幅2.21m
胴体全長13.58m
全高5.13m
キャビン寸法W1.83m×L7.37m×H1.83m
運用重量4,868kg
最大離陸重量8,618kg
発動機ゼネラル・エレクトリックCT58-IHI-110-1
ターボシャフト×2
出力1,250shp/19,500rpm(1基)
燃料容量510gal(350gal(機内)+80gal×2(増加タンク))
最大速度270km/h(外部搭載なし)
巡航速度241km/h
実用上昇限度13,700ft
海面上昇率1,550ft/min
飛行航続距離396km
乗員3名+25名

《配備部隊》

KV-107II-4/IIA-4
部隊名上位組織
第1ヘリコプター隊第1,第2飛行隊[IH]第1ヘリコプター団
第2ヘリコプター隊第1,第2飛行隊[IIH]
西部方面ヘリコプター隊第3飛行隊[WH]西部方面航空隊
第101飛行隊[IB]第1混成団
明野本校[S]航空学校
教育支援飛行隊[SD]
霞ヶ浦分校[SK]
ほとんどの機体は第1ヘリコプター団の2個ヘリコプター隊に配備されましたが、その他の部隊にも少数機が配備されました。

KV-107II-4A
部隊名上位組織
第2ヘリコプター隊[IIH]第1ヘリコプター団
西部方面ヘリコプター隊第3飛行隊[WH]西部方面航空隊
当初は第2ヘリコプター隊に配備されVIP輸送に従事しましたが、1986年12月に第1ヘリコプター団特別輸送飛行隊が編成されAS332Lが配備されるとその任を譲り、1995年4月になって西部方面ヘリコプター隊に移管されています。

《部隊マーク》

第1ヘリコプター隊第1,第2飛行隊
部隊識別帯として第1飛行隊は白帯1本、第2飛行隊は白帯2本を後部胴体に斜めに巻いていました。この帯は迷彩塗装になるとなくなりました。
第2ヘリコプター隊第1,第2飛行隊
部隊識別帯として第1飛行隊は黄帯1本、第2飛行隊は黄帯2本を後部胴体に斜めに巻いていました。この帯は迷彩塗装になるとなくなりました。
制定不明(1993年秋頃)
(CH-47Jに機種改編中)
図柄白/赤/黄/黒で羽根飾りを付けたチヌーク族インディアンの横顔を、白でコールサインにちなんだ「Kazusa flight」の文字をデザインしたマーク
(CH-47Jと同マーク)
●これを描いたのは第2飛行隊に残った機体のみ
記入位置機首側面
部隊識別帯は機首先端と胴体側面の増槽に黄帯2本
西部方面ヘリコプター隊第3飛行隊
配備当初はノーマーク
制定不明(2001年4月に確認)
図柄黒/白の鈎爪義手の上にとまるカワセミを黒で、その下に「KINGFISHERS」の文字を黒(白シャドー付き)で描いたマーク
(CH-47JAと同マーク)
記入位置後部ローターマスト
上記以外の飛行隊は部隊マークを使用していません。

《キット》

1/72 フジミKV-107II-4
KV-107IIA-4にするには若干の改造が必要です。リリース当初の定番パッケージのほか、後に写真パッケージのデカール替えが2種類出ましたがすべて定番品となっています。
 なお沖縄仕様の機体にするには空自/海自型のキットを使うほうが早いですが、“沖縄塗装”のデカール替えパッケージに入っている#51810は第101飛行隊に配備された機体の中で恐らく唯一スポンソンタンクを装備しない機体なので、キットのままで作れます。
エアフィックスV-107/UH-46
沖縄仕様の機体に付く500galのスポンソンタンクもパーツ化されています。またKV-107IIA-4にするには若干の改造が必要ですが、その労力はフジミのキットに向けるのが健全でせう(笑)。
1/90 アリイCH-46【絶版】型式は不明ですがボックスアートは米海兵隊で、スポンソンはタンクではない小型のものです。入手困難な上に自衛隊型にするには改造が必要ですが、このスケール唯一のキットなので入れときました。
1/100 タミヤKV-107II
-3/-4/-5
【絶版】ミニジェットシリーズ。沖縄仕様の機体に付く500galのスポンソンタンクもパーツ化されています。また、KV-107IIA-4にするには若干の改造が必要です。2003年12月にスポット再販されました。
KV-107II
(民間型)
【絶版】ミニジェットシリーズ。唯一の民間型のキットです。軍用型のキットから胴体側面増槽のパーツとデカールを流用(シリアルナンバーは自作)すればKV-107II-4Aにできます。2003年12月にスポット再販されました。
1/118 イマイKV-107II-4
【絶版】「ポケットメカシリーズ」という半端スケールなスナップタイトキット。同シリーズのAH-1S(スケールは1/80)と一緒のパッケージになったりして度々再販されました。
1/144 FEレジンCH-46Aチェコ製のレジンキット。入手困難な上に自衛隊型にするには改造が必要ですが、このスケール唯一のキットなので入れときました。
エフトイズ・
   コンフェクト
KV-107II-4
【限定版】番外編。『ヘリボーンコレクション4』のアイテムのひとつになるものです。塗装済み完成品なので番外としましたが、プラキットと並べても遜色のない出来です。胴体側面の増槽が省略されているのが残念。なおシークレットの沖縄塗装機には空自/海自機と同じ大型スポンソンが入っています。
KV-107IIA-4
1/350 ブロンコ CH-46Eクリヤープラ製で4機入り。胴体側面の増槽は要自作。下記「ニューヨーク」の搭載機を独立させたものと思はれ。
CH-46Eアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
トランペッターCH-46Eクリヤープラ製で6機入り。胴体側面の増槽は要自作。下記「ニューヨーク」の搭載機を独立させたものと思はれ。
モノクローム
(トランペッター)
CH-46Eアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
ラーセナルCH-46レジン製でローター等のエッチングパーツ付き。胴体側面の増槽は要自作。
1/700 ドラゴンCH-46強襲揚陸艦「タラワ」「サイパン」のキットと「U.S. MARINE AMPHIBIOUS FORCE」(これは絶版か?)に入っています。
ホビーボスCH-46アメリカ海軍強襲揚陸艦「LHD-1ワスプ」「LHD-2エセックス」「LHD-3キアサージ」「LHD-4ボクサー」「LHD-5バターン」「LHD-6ボノム・リシャール」「LHD-7イオー・ジマ」、ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
オレンジホビーCH-46レジン製4機入りでローター等のエッチングパーツ付き。
ホワイトエンサイン
モデル
CH-46胴体はレジン製でモールドも何もありませんが、ローターはエッチングでシャープな出来です

《デカール》

1/72 フジミキット付属
(陸上自衛隊)
KV-107II-4第1ヘリコプター隊迷彩塗装
第1ヘリコプター隊
第1飛行隊
旧塗装
第1ヘリコプター隊
第2飛行隊
旧塗装
第2ヘリコプター隊迷彩塗装
第2ヘリコプター隊
第1飛行隊
旧塗装
第2ヘリコプター隊
第2飛行隊
旧塗装
西部方面ヘリコプター隊迷彩塗装
旧塗装
第101飛行隊旧塗装
(沖繩塗装ではない)
航空学校明野本校迷彩塗装
旧塗装
航空学校
教育支援飛行隊
迷彩塗装
旧塗装
航空学校霞ヶ浦分校迷彩塗装
旧塗装
いずれも部隊記号と飛行隊識別帯のみ
キット付属
(沖縄塗装)
KV-107IIA-4第101飛行隊沖縄塗装
キット付属
(ラストフライト)
KV-107IIA-4西部方面ヘリコプター隊
第3飛行隊
KV-107II退役記念塗装
フライング
パパス
72M074KV-107IIA-4西部方面ヘリコプター隊
第3飛行隊
KV-107II退役記念塗装
この機体は沖縄仕様でしかも機首に気象レーダー付きなので、空自/海自型のキットをベースにしてさらに若干の改造が必要です。デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)
プリント
 スケール
72-149KV-107IIA-4第101飛行隊沖縄塗装
ウクライナ製デカール。これもフジミのデカール替えと同様#51810なので定番の陸自型キットで作れます。でも「陸上自衛隊」の文字はなんとか読めるものの、やはり間違っているのがツライところ。(´・ω・`)
1/100 タミヤキット付属
【絶版】
KV-107II-4第1ヘリコプター隊
第2飛行隊
旧塗装
1/118 イマイキット付属
【絶版】
KV-107II-4第2ヘリコプター隊
第1飛行隊
旧塗装

inserted by FC2 system