グラマンS2F-1/-U/-Cトラッカー『あおたか』

《シリアルナンバー》

基本型式S2F-1
4101/4160供与機
改造型S2F-U9151(元4160),9152(元4159),9153(元4137),9154(元4158)
S2F-C9061(元4110),9062(元4105)

《実機について》

 1952年12月4日に原型機XS2F-1の1号機が初飛行した、アメリカ海軍向けのレシプロ双発艦上対潜哨戒機です。それまで捜索機と攻撃機が別々だった艦載機による対潜哨戒任務は、本機によって初めて1機で可能となりました。S2F-1は最初の量産型で、1953年7月7日に初飛行しアメリカ海軍に配備されています。なお、S2F-1は1962年9月のアメリカ3軍呼称統一によりS-2Aとなりましたが、海上自衛隊では導入時の呼称だったS2F-1をそのまま用いていました。

《自衛隊での使用状況》

 海上自衛隊には1957年4月4日から2年間に渡ってS2F-1が60機供与されました。これらは全てグラマン製の新造機でした。
 S2F-UはS2F-1の対潜機器を取り外して標的曳航型としたもので、1970年に4機が改造されました。胴体前部上面のレドームと後部下面の引き込み式レドームを撤去し、下面の撤去跡は丸い板を貼って塞いでいます。その後方下面には標的曳航装置が設置されています。軽輸送にも用いられるため胴体内には座席が3つ増設され、胴体後部右側には角窓が設けられました。エンジンナセル後端のソノブイランチャーも撤去されて穴が塞がれ、右翼のサーチライトも中身が抜かれています(ハウジングはそのまま)。また尾部のアレスティングフックと引き込み式MADブームも撤去されています。
 S2F-CはS2F-1の対潜機器を取り外して輸送型としたもので、1973年に2機が改造されました。改造内容はS2F-Uと同様ですが、胴体後部下面の引き込み式レドームの撤去跡はきれいに整形され、標的曳航装置はもちろん設置されていません。胴体右側の角窓は3個となり、尾部のアレスティングフックは残されています。
 S2F-1は1984年3月30日までに全機退役し、S2F-Uは1981年10月まで、S2F-Cは1980年まで使用されました。自衛隊での愛称は『あおたか』です。

《性能諸元》

S2F-1
全幅21.23m
全長13.00m
全高4.97m
主翼面積45.1u
運用重量7,130kg
最大離陸重量11,113kg
発動機ライトR-1820-82空冷単列星形9気筒×2
出力1,275hp/2,500rpm(1基)
燃料容量521gal(機内)
最大速度463km/h(外部搭載なし)
巡航速度296km/h
哨戒速度241km/h
実用上昇限度35,000ft
海面上昇率1,920ft/min
飛行航続距離1,852km
武装魚雷×2または爆弾×2〜4(爆弾倉内)
5inHAVRロケット弾×6または爆雷×2(主翼下面)
乗員4名

《配備部隊》

S2F-1(1957〜1961)
部隊名備考
鹿屋航空隊第6飛行隊1957/5/1〜1958/4/1
徳島航空隊第21飛行隊第6飛行隊を改称,1958/4/1〜1958/9/16
徳島航空隊第11飛行隊1958/9/16〜1961/9/1,以降は第3航空群第11航空隊
徳島航空隊第12飛行隊1958/9/16〜1961/9/1,以降は第3航空群第12航空隊
八戸航空隊第13飛行隊1959/5/16〜1961/9/1,以降は第2航空群第13航空隊
徳島航空隊第14飛行隊1960/1/16〜1961/9/1,以降は第204教育航空隊
鹿屋教育航空隊1961年以降は鹿屋教育航空群

S2F-1(1961〜1984)
部隊名(旧上位組織→)上位組織
第11航空隊第3航空群→第1航空群
第12航空隊第3航空群
第13航空隊第2航空群
第14航空隊第3航空群→第4航空群
第51航空隊第512飛行隊第2航空群→第4航空群→航空集団直轄
第204教育航空隊航空教育集団直轄→鹿屋教育航空群
当初は鹿屋航空隊、徳島航空隊、八戸航空隊、鹿屋教育航空隊に配備されましたが、1961年に航空集団と航空教育集団が編成された後は上記の各航空隊の所属となりました。

S2F-U
部隊名上位組織
第61航空隊航空集団直轄

S2F-C
部隊名上位組織
第61航空隊航空集団直轄
第31航空隊第31航空群
当初は第61航空隊に配備されましたが、後に第31航空隊に移管されました。

《部隊マーク》

第51航空隊
制定不明
図柄任務が似ている米海軍の実験開発飛行隊を表す「VX」をデザインしたディグロウと黄のマーク
その他の航空隊は部隊マークを使用しませんでした。

《キット》

1/48 キネティックS2F-1
2013月6月発売。2011年3月に発売されたS-2E/Gのバリエーションキットですが、長さが短い胴体、主翼、水平尾翼パーツはまるまる新造してます。海自デカール入り。
約1/54 オーロラS2F-1【絶版】脚のないフライングモデルで、マーキングがモールドされていて、スケールも中途半端ですが、雰囲気はいいようです。(^_^;)
1/72 ハセガワS2F-1
古いキットなのでコクピット内や細部は甘いですがプロポーションは良好です。
【限定版キット】
●“海上自衛隊”(第11、14航空隊デカール入り)
●“海上自衛隊 第51航空隊”
(加藤単駆郎氏のパッケージイラスト。デカールは米海軍と海自第51空という組み合わせは初版と同じですが米海軍の部隊や海自機の機番が違います)
●“海上自衛隊 第11航空隊”(第11航空隊デカール入り)
[2024年6月発売予定]
S2F-U
【限定版】S2F-1のキットに、レジン製のレドーム跡を塞ぐパーツなどを追加したものです。2023年5月に再販予定で、新パッケージにレジンパーツだけでなくメタルパーツも追加されているとのこと。。
ドイツレベルS2F-1ハセガワのOEMのようです。
ホビークラフト
カナダ
S2F-1ハセガワのデッドコピー
イデアS2F-1韓国の謎のメーカー(笑)、イデア製のこのキット、ボックスアートはハセガワのキットそのまんまな上に中身も他のイデア製品同様ホビークラフトカナダのもの、つまりハセガワのデッドコピーです。
ユニークスケール型式不明【絶版】レジンキット
エアモデル型式不明【絶版】バキュームフォームキット
1/110 コメット型式不明【絶版】
1/144 ミニウイング
(ホーネット)
S-2Eチェコ製のレジンキット。主翼と水平尾翼と胴体を少し切り詰めて、エンジンナセル後端のソノブイ発射口あたりの形状を変更し、コクピット上にレドームをチョンと載せてやればS2F-1になる、と思います。(^_^;)
エフトイズ・
   コンフェクト
S2F-1
【限定版】番外編。塗装済み半完成品のシリーズ『哨戒機コレクション』のアイテムのひとつで、S2F-Uはシークレットアイテムです。なかなかいい出来ですが尻餅を着かせないようにするのは大変です。(^◇^;)
S2F-U
1/400 ホワイトエンサイン
モデル
S2F-3レジン製。主翼と水平尾翼をほんの少し切り詰めてコクピット上にレドームをチョンと載せてやればS2F-1になります。(^_^;)
1/700ピットロードS2F-1「ザ・ウエスト・ウイングス2」(S52)(S10【絶版】)、「陸上自衛隊車両セット」(SP20)【限定版】に付属。日の丸はもちろんシリアルや「海上自衛隊」の文字までデカールになっています。このスケールですから、ほとんど塗装だけでS2F-UやS2F-Cにもできます。(^_^;)
ホワイトエンサイン
モデル
S2Fレジン製でモールドも何もありません。
ドラゴンS2F-1対潜空母USSプリンストンCVS-37のキットに付属しています。

《デカール》

1/48 キネティックキット付属S2F-1第11航空隊[第1航空群]
カラカルモデルズCD48005S2F-1第11航空隊[第1航空群]
S2F-U第61航空隊
S2F-C第31航空隊
2011年6月発売のアメリカ製デカール。驚くべきコトに漢字はほぼ正確です。
1/72 ハセガワキット付属S2F-1第51航空隊第512飛行隊
キット付属
(海上自衛隊)
【限定版】
S2F-1第11航空隊[第1航空群]
第14航空隊[第4航空群]
キット付属
(海上自衛隊 第51航空隊)
【限定版】
S2F-1第51航空隊第512飛行隊
キット付属
【限定版】
S2F-U第61航空隊
ホビークラフト
カナダ
キット付属S2F-1第51航空隊第512飛行隊
スーパースケール
デカール
No.72-443S2F-U第61航空隊
アメリカ製デカール。古いので漢字が読めません(笑)。
フライングパパス72M017
S2F-1鹿屋教育航空隊
八戸航空隊
徳島航空隊
デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`)

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