シコルスキーSH-60Jシーホーク
《シリアルナンバー》
SH-60J
| 艦載型 | 8201/8250,8053,8258,8264,8284,8286,8288/8291,8295,8297/8303 |
陸上型 | 8251/8252,8254/8257,8259/8263,8265/8283,8285,8287,8292/8294,8296 |
《実機について》
H-60(社内名称S-70)はアメリカ陸軍のUH-1後継機として開発されたターボシャフト双発の汎用ヘリコプターで、原型機YUH-60Aは1974年10月17日に初飛行しました。現在アメリカ陸軍では、エンジンを強化し排気口にIRサプレッサーやIRジャマーを装備した発展型UH-60Lが主力になっています。
アメリカ海軍はSH-2の後継機となるLAMPS III(多用途艦載機)として、UH-60を艦載機仕様に改めたSH-60Bの採用を決定し、1979年12月12日に原型機が初飛行しました。SH-60Bの機体はUH-60Aを基本にしていますが、多くの点で異なっています。胴体は主キャビン前方の窓と胴体左側のドアがなくなり、大きな1枚ガラスの窓が取り付けられました。窓の後方にはソノブイランチャー(25発収容)が設けられています。胴体右側キャビンドア上方には吊り上げホイストが付けられました。胴体側面下方には魚雷などを搭載するためのパイロンが設置され、機首下面左右と後部胴体左右側面のESMアンテナフェアリングが設けられたほか、後部胴体右側には曳航式磁気探知装置(通称MADバード)用パイロンも取り付けられています。また海水の浸入防止のため機体全体が密閉構造になっています。ローターブレード、テイルブーム、水平安定板は艦上での運用のため折り畳めるようになっており、尾輪も狭い離着艦スペースに合わせ前進させた位置に取り付けられています。後には空母搭載用の対潜哨戒型SH-60F(1号機初飛行1987年3月19日)やCSR(戦闘捜索救難)&戦闘支援型HH-60H(1号機初飛行1988年8月17日)も作られていますが、現在SH-60BとSH-60Fを統合したSH-60Rの開発が進められています。
アメリカ空軍はHH-3Fの後継機となるCSRヘリコプターとして1982年にHH-60Dを採用しました。HH-60Dでは機首右側に空中給油ブロープが付いたほか、捜索時の視界確保のためと、コンバット・レスキューを想定しキャビンに乗るガナーの射撃の障害にならないために、ESSS(機外搭載補助システム)と呼ばれる機外搭載用小翼がUH-60AのESSSとは違って大きく上半角のついたものになっています。しかし予算不足のため1985年に計画は中断され、1992年になって空軍はUH-60AベースのCSR型HH-60Gと、UH-60Lベースの特殊作戦型MH-60Gの採用を決めました。HH/MH-60Gでは機首に気象レーダーとFLIRを装備(空自/海自型とは形状が異なります)、排気口にはIRサプレッサーやIRジャマーを装備しています。
H-60/S-70系列はアメリカ3軍・沿岸警備隊のほか世界22ヶ国で使用されており、イギリス、韓国、日本ではライセンス生産も行われています。
《自衛隊での使用状況》
自衛隊では、海上自衛隊がSH-60Bベースの艦載対潜型SH-60Jを、航空自衛隊と海上自衛隊がUH-60AベースのSAR(捜索救難)型UH-60Jを、陸上自衛隊がUH-60Lベースの多用途型UH-60JAを採用しました。
SH-60JはHSS-2Bの後継機として採用されたものです。S-70B-3(SH-60Bと同等の機体)に日本で開発した装備品を載せたもので、アメリカ海軍のSH-60BとSH-60Fの両方の任務を兼ねるようなタイプになっています。SH-60Bと比べると機首下面左右と後部胴体左右側面のESMアンテナフェアリングの形状が異なり、胴体左側面の窓はバブルウィンドウになっているほか、胴体下面にはSH-60Fと同様のディッピングソナー吊り下げ用の丸穴が開いています。最近の機体は、テイルブーム左側面に太鼓状のフライトデータ・レコーダーを装備しているほか、#8271以降の機体はFLIR(前方監視赤外線照準装置)を搭載、#8285以降の機体は機首と尾部にミサイル接近警報装置のセンサーを増設しテイルブーム側面後部にチャフ/フレアディスペンサーを取り付け、#8294以降の機体は胴体背部にGPSアンテナが取り付けられています。
また、航空基地の部隊に配備される陸上型は胴体下面の着艦用の装置や胴体左側のソノブイランチャーが装備されておらず、また機内の機器類の配置が変更されているらしく、エアコン排気口の位置が胴体前部右下(機首の機番の下)から胴体左側中央(日の丸の上)に移り、形も丸から四角に変わっています。なお、#8285以降の陸上型は胴体左側面のパイロンに増槽を搭載できるようになっており、パイロンの形状が後方に伸びた形になっています。
そのほか、1999年3月に発生した不審船による領海侵犯事件を受けて、最も不審船に出会う可能性の高いSH-60JにGPS装置1台と機関銃1丁を搭載することになり、2000年度予算にそのための経費が計上されました。今後は海峡・港湾防衛の任にあたるSH-60Jの標準装備となります。
最初の2機はシコルスキー製の機体だけを購入して日本製の装備品を搭載し、1987年8月31日に初飛行、XSH-60Jとして1989年6月1日に海上自衛隊に引き渡され、第51航空隊でテストが行なわれました。3号機以降の量産型は三菱重工でライセンス生産した機体となり1991年8月26日から部隊配備が開始され、2005年3月7日までに計103機が引き渡されました。これで調達は終了し、生産は後継機のSH-60Kに移行しました。
《性能諸元》
| SH-60J |
主回転翼 | 直径16.36m,4枚羽根 |
胴体全幅 | 2.7m |
胴体全長 | 15.26m |
全高 | 5.13m |
運用重量 | 6,190kg |
最大離陸重量 | 9,900kg |
発動機 | ゼネラル・エレクトリックT700-IHI-401Cターボシャフト×2 |
出力 | 1,690shp(1基) |
最大速度 | 300km/h(外部搭載なし) |
巡航速度 | 278km/h |
実用上昇限度 | 19,000ft |
海面上昇率 | 1,290ft/min |
飛行航続距離 | 584km |
武装 | 魚雷×2 |
乗員 | 3名 |
《配備部隊》
1989〜2008 |
部隊名 | (旧上位組織→)上位組織 |
第51航空隊第513飛行隊 | 航空集団直轄 |
第101航空隊 | 第21航空群 |
第121航空隊 |
第122航空隊 | 第22航空群 |
第123航空隊 | 第22航空群→第21航空群 |
第123航空隊舞鶴航空分遣隊 | 第21航空群 |
第124航空隊 | 第21航空群→第22航空群 |
第211教育航空隊 | 航空教育集団直轄 |
大湊航空隊[ミ] | 大湊地方隊 |
小松島航空隊[コ] | 呉地方隊 |
大村航空隊[オ] | 佐世保地方隊 |
第123航空隊と第124航空隊の所属航空群の変更は異動によるものではなく、1998年3月20日に両航空隊が部隊番号を交換したことによるものです。 |
2001年3月22日から運用が始まった舞鶴飛行場での運用のため、第123航空隊隷下に舞鶴航空分遣隊が新編されました。HSS-2B陸上型を代替する陸上部隊への配備も2003年7月までに全て終了しました。 |
2008〜 |
部隊名 | 上位組織 |
第21航空隊 | 第21航空群 |
第22航空隊 | 第22航空群 |
第23航空隊 | 第21航空群 |
第24航空隊[コ] | 第22航空群 |
第25航空隊[ミ] | 第21航空群 |
第51航空隊第513飛行隊 | 航空集団直轄 |
第211教育航空隊 | 航空教育集団直轄 |
2008年3月26日付の航空集団の組織改編で、第21航空群(館山)隷下の3個飛行隊と大湊航空隊は第21/23/25航空隊に、第22航空群(大村)隷下の2個航空隊と大村・小松島航空隊は第22/24航空隊に再編されました。詳しくは略年表を参照してください。
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《部隊マーク》
※2002年7月ごろに塗粧様式が変更になって第一線部隊(第121〜第124航空隊)の部隊識別帯は消されてしまい、部隊識別はテイルブーム後端に書かれた部隊番号のみとなりました。さらに2003年度以降からは順次グレー2色の低視認性迷彩となり、日の丸と機番は縮小されコーションデータはグレイになります。(T^T)
第51航空隊
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制定 | 不明 |
図柄 | 任務が似ている米海軍の実験開発飛行隊を表す「VX」をデザインしたディグロウと黄のマーク
| 記入位置 | テイルブーム後端
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第121航空隊
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制定 | 不明(HSS-2B時代) |
図柄 | 赤・赤・青・青の斜め帯
| 記入位置 | テイルブーム中央部
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このマーキングは1991年にHSS-2Bから機種改編した後も引き継がれています。
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第122航空隊
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制定 | 不明(HSS-2B時代) |
図柄 | 赤・青の「く」の字形の帯
| 記入位置 | テイルブーム中央部
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このマーキングは1993年にHSS-2Bから機種改編した後も引き継がれています。
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第123航空隊
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旧マーク | 制定 | 不明(HSS-2B時代) |
図柄 | 青・黄・青の斜め帯
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最終マーク | 制定 | 不明 (1998年3月20日に第21航空群第124航空隊と部隊番号を交換して第21航空群隷下となる) |
図柄 | 3本の青い斜め帯
| 記入位置 | テイルブーム中央部
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1992年にHSS-2Bから機種改編した時はマーキングを引き継ぎましたが、その後変更しています。 |
第124航空隊
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旧マーク | 制定 | 不明(HSS-2B時代) |
図柄 | 4本の青い斜め帯
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最終マーク | 制定 | 不明 (1998年3月20日に第22航空群第123航空隊と部隊番号を交換して第22航空群隷下となる) |
図柄 | 青・黄・黄・青の斜め帯
| 記入位置 | テイルブーム中央部
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1993年にHSS-2Bから機種改編した時はマーキングを引き継ぎましたが、その後変更しています。 |
第101、第211教育、大村、小松島の各航空隊は部隊マークを使用していません。 |
《キット》
※1/350や1/700は2014年3月現在で艦船キットの付属品としてのキット化がほとんどなので、漏れがあると思いますがきちんと調べるのめんどい(爆)のでご容赦ください。m(_ _)m
1/48 |
イタレリ | SH-60B
| 2003年9月発売の1/48初の海軍型ホークです。海上自衛隊デカール入りですが機体はきっちりB型なのでJ型にするには改造が必要です。 |
1/72 |
ハセガワ | SH-60J
| SH-60Bのデカール替えなので、このキットそのままで再現できるのはXSH-60Jの、それもごく初期の頃のみです。量産型にするにはあちらこちらにかなり手を入れなければなりません。また機内がUH-60Aと同じなので完全な自作が必要です。 |
イタレリ | SH-60B
| SH-60Jのデカールが入っています。機内は再現されているもののSH-60Bの機内なので、SH-60Jにするにはやはり改造が必要です。 |
タミヤ | SH-60B
| ウォーバードシリーズ。イタレリの箱替えです。 |
1/144 |
ドラゴン | SH-60B | 2機入り。J型にするには改造が必要です。細かいパーツを流用するためにUH-60Lのキットのランナーがまるごと入っているので、なんとなくお得感があります(笑)。 |
タカラ | SH-60J
| 【限定版】番外編。2005年8月に限定発売された『世界の艦船 亡国のイージス・渥美バージョン』のアイテムのひとつになっていたものです。塗装済み完成品なので番外としましたが、胴体下面やコクピット内まで再現されているなどプラキットと並べても遜色のない出来です。 |
エフトイズ・ コンフェクト | SH-60J
| 【限定版】番外編。2005年9月発売の『ヘリボーンコレクション2』のアイテムのひとつになっているものです。塗装済み完成品なので番外としましたが、前回同様プラキットと並べても遜色のない出来です。レギュラーアイテムは白/グレーの旧塗粧、シークレットアイテムはグレー2色の現行塗粧です。細部の再現は上のタカラのものより落ちますが、プロポーションはタカラよりいいかも。(^◇^;) |
SH-60J
| 【限定版】番外編。2011年10月発売の『ヘリボーンコレクションSPECIAL Ver.』のアイテムのひとつ。『ヘリボーンコレクション2/3』からのアソートで、モノはたぶん同じです。前回シークレットアイテムだった現行塗粧機は、今回はレギュラーになりました。
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1/350 | ブロンコ | SH-60B/J | 2機入りキット。下記キット付属パーツを独立させたものと思はれ。 |
SH-60B | 沿岸戦闘艦「LCS-2インデペンデンス」のキットに付属しています。 |
トランペッター | SH-60J | クリヤープラ製で6機入り。 |
ベテランモデル | SH-60B | レジン製で2機入り。ローターなどはエッチングです。 |
ピットロード | SH-60J | イージス護衛艦「DDG-173こんごう」「DDG-174きりしま」「DDG-175みょうこう」、護衛艦「DD-101むらさめ」「DD-106いかづち」のキットに付属しています。 |
フジミ | SH-60J | 護衛艦「DDH-181ひゅうが」「DDH-182いせ」のキットに搭載機として入っています。 |
ドラゴン | SH-60B | ミサイル駆逐艦「DDG-92マンセン」のキットに付属しています。 |
アカデミー | SH-60B | ミサイルフリゲート艦「FFG-57ルーベン・ジェームズ」のキットに付属しています。 |
1/700 |
ピットロード | SH-60J | 「海上自衛隊 艦船装備セット1」(NE10)、「海上自衛隊 艦船装備セット2」(NE11)、「現用艦船装備セット(5)」(E01)や各種護衛艦のキットに付属しています。 |
アオシマ | SH-60J | 各種護衛艦のキットに付属しています。 |
タミヤ | SH-60J | 輸送艦「LST-4002しもきた」のキットに付属。でもなんで?(^_^;) |
フジミ | SH-60B | 「アメリカ空母艦載機'98 CVW-2&CVW-5」やアメリカ海軍の現用駆逐艦のキットに付属しています。 |
ホワイトエンサイン モデル | SH-60B? | 胴体はレジン製でモールドも何もありませんが、ローターはエッチングでシャープさではピカいちです。 |
ドラゴン | SH-60B | 「ASW PLANES & HELICOPTERS」セット及び現用の米海軍イージス巡洋艦や駆逐艦などのキットに付属。 |
ブロンコモデル | SH-60B | 台湾海軍“康定級”フリゲイト艦のキットに付属。 |
タカラ | SH-60J
| 【限定版】番外編。2005年8月に限定発売された『世界の艦船 亡国のイージス・仙石バージョン』のアイテムのひとつに付属していたものです。塗装済み完成品なので番外としました。 |
《デカール》
1/35 |
フライング パパス | 35M010 | SH-60J | 第121航空隊 [第21航空群] | リムパック'98参加機 |
48M057、72M030と同内容。貼るべきキットが存在しません(爆)。デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`) |
1/48 |
イタレリ | キット付属 | SH-60J | 国籍マークと機番のみ | |
フライング パパス | 48M057 | SH-60J | 第121航空隊 [第21航空群] | リムパック'98参加機 |
35M010、72M030と同内容。デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`) |
1/72 |
ハセガワ | キット付属 | SH-60J | 第51航空隊 第513飛行隊 | |
イタレリ | キット付属 | SH-60J | 国籍マークと機番のみ | |
タミヤ | |
フライング パパス | 72M029
| SH-60J | 第121航空隊 [第21航空群] | リムパック'98参加機 |
72M030 | SH-60J | 第121航空隊 [第21航空群] | リムパック'98参加機 |
72M029のほうはシリアルナンバーがデタラメなのが残念(実機は#8232)。72M030は35M010、48M057と同内容。デカール自体はMDプリンターで印刷されたもので、赤や黄色あるいはグレーなどの中間色に網目が出ている場合がありますので、その点を承知した上で使いませう。「ホビーセンターえんどう」でのみ入手できましたが、どうもサイトを閉めてしまったようです。(´・ω・`) |
1/144 |
アシタの デカール (MYKデザイン) | A-273
【限定版】 | SH-60J | 第22航空隊 [第22航空群] |
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