ボーイング・バートル/川崎
         KV-107II-3/IIA-3『しらさぎ』

《シリアルナンバー》

KV-107II-38601/8602
KV-107IIA-3
8603/8609

《実機について》

 原型となったのはバートル社(後にボーイング・バートル社を経て現・ボーイング社)が自社開発したターボシャフト双発タンデムローターヘリコプターのモデル107で、1958年4月22日に初飛行しました。これに目をつけたアメリカ陸軍は兵員輸送ヘリコプターYHC-1A(後にYCH-46C)として評価テストを行いましたが結局採用されませんでした。そこでバートル社ではエンジンをパワーアップし各部に改良を加えたV-107IIを製作し1960年10月25日に初飛行、これが1961年2月にアメリカ海兵隊の強襲揚陸作戦用ヘリコプターHRB-1(後にCH-46A)として採用されました。

《自衛隊での使用状況》

 日本では川崎重工がライセンス生産権を獲得し1962年5月にノックダウン生産1号機を進空させました。自衛隊では、海上自衛隊が機雷掃海型としてKV-107II-3を、陸上自衛隊が侵攻/輸送型としてKV-107II-4を、航空自衛隊が救難型としてKV-107II-5を採用しました。
 海上自衛隊では、まず1963年9月に2機の川崎重工製KV-107II-3の引き渡しを受けましたが、これらの機体は胴体両側のスポンソンの外側に325gal燃料タンクを装着していました。続いて1972年から1976年にかけてエンジンをパワーアップしたCT58-IHI-140(1,400shp)に換装したKV-107IIA-3を7機導入しましたが、これらの機体はスポンソンタンクの容量が500galに変更されています。後部胴体下面には掃海具の曳航用ウィンチを備えており、Mk.101係維機雷掃海具、Mk.104音響機雷掃海具の各掃海具を使用できます。また、乗員が掃海具の監視を行うためのバブルウィンドウも胴体両側に設けられています。しかしMk.105磁気機雷掃海具などの大型の掃海具を運用するには能力不足のため、1989年からは後継機MH-53Eの配備が始まり、1990年に全機退役しました。自衛隊での愛称は『しらさぎ』です。

《性能諸元》

KV-107II-3
主回転翼直径15.24m,3枚羽根(前後とも)
胴体全幅2.21m
胴体全長13.58m
全高5.13m
キャビン寸法W1.83m×L7.37m×H1.83m
運用重量5,524kg
最大離陸重量9,707kg
発動機ゼネラル・エレクトリックCT58-IHI-110-1
ターボシャフト×2
出力1,250shp/19,500rpm(1基)
燃料容量1,000gal(350gal(機内)+325gal×2(スポンソンタンク))
最大速度220km/h(外部搭載なし)
巡航速度212km/h
実用上昇限度14,000ft
海面上昇率1,480ft/min
飛行航続距離950km
乗員6名+最大6名

《配備部隊》

部隊名上位組織
第51航空隊第4航空群→航空集団直轄
第111航空隊航空集団直轄
まず全機を第51航空隊に配備して航空掃海の研究を行い、その後1974年2月10日に掃海専門部隊の第111航空隊を発足させると全機を移管しました。

《部隊マーク》

第51航空隊
制定不明
図柄任務が似ている米海軍の実験開発飛行隊を表す「VX」をデザインしたディグロウと黄のマーク
記入位置後部ローターパイロン
第111航空隊は部隊マークを使用しませんでした。

《キット》

1/72 フジミKV-107II-3
機体はKV-107II-3なのにスポンソンタンクは500galのものが入っています。また、このタンクを生かしてKV-107IIA-3にするには若干の改造が必要です。
エアフィックスV-107/UH-46
スポンソンタンクは500galのものが入っていますが、KV-107IIA-3にするには若干の改造が必要です。とはいえその労力はフジミのキットに向けるのが健全でせう(笑)。
1/90 アリイCH-46【絶版】型式は不明ですがボックスアートは米海兵隊で、スポンソンはタンクではない小型のものです。入手困難な上に自衛隊型にするには改造が必要ですが、このスケール唯一のキットなので入れときました。
1/100 タミヤKV-107II
-3/-4/-5
【絶版】ミニジェットシリーズ。KV-107II-3用のスポンソンタンクはきちんと325galのものが入っています。500galのものも入っていますが、KV-107IIA-3にするには若干の改造が必要です。2003年12月にスポット再販されました。
1/118 イマイKV-107II-4
【絶版】入手困難な上に海上自衛隊型にするには改造が必要ですが、このスケール唯一のキットなので入れときました。
1/144 FEレジンCH-46Aチェコ製のレジンキット。入手困難な上に自衛隊型にするには改造が必要ですが、このスケール唯一のキットなので入れときました。
エフトイズ・
   コンフェクト
KV-107IIA-3
【限定版】番外編。『ヘリボーンコレクション4』のアイテムのひとつになるものです。塗装済み完成品なので番外としましたが、プラキットと並べても遜色のない出来です。
1/350 ブロンコ CH-46Eクリヤープラ製で4機入り。スポンソンを膨らませる必要があります。下記「ニューヨーク」の搭載機を独立させたものと思はれ。
CH-46Eアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
トランペッターCH-46Eクリヤープラ製で6機入り。スポンソンを膨らませる必要があります。下記「ニューヨーク」の搭載機を独立させたものと思はれ。
モノクローム
(トランペッター)
CH-46Eアメリカ海軍ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
ラーセナルCH-46レジン製でローター等のエッチングパーツ付き。スポンソンを膨らませる必要があります。
1/700 ドラゴンCH-46強襲揚陸艦「タラワ」「サイパン」のキットと「U.S. MARINE AMPHIBIOUS FORCE」(これは絶版か?)に入っています。スポンソンを少し膨らませる必要があります。
ホビーボスCH-46アメリカ海軍強襲揚陸艦「LHD-1ワスプ」「LHD-2エセックス」「LHD-3キアサージ」「LHD-4ボクサー」「LHD-5バターン」「LHD-6ボノム・リシャール」「LHD-7イオー・ジマ」、ドック型輸送揚陸艦「LPD-21ニューヨーク」のキットに搭載機として入っています。
オレンジホビーCH-46レジン製4機入りでローター等のエッチングパーツ付き。
ホワイトエンサイン
モデル
CH-46胴体はレジン製でモールドも何もありませんが、ローターはエッチングでシャープな出来です。スポンソンを少し膨らませる必要があります。

《デカール》

1/72フジミキット付属KV-107II-3第111航空隊
1/100タミヤキット付属【絶版】KV-107II-3第111航空隊

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