1-2.第4類の危険物

《第4類に分類される物品》
    1. 特殊引火物
    2. 第1石油類
    3. アルコール類
    4. 第2石油類
    5. 第3石油類
    6. 第4石油類
    7. 動植物油類

 第4類に分類される物品の性質は「引火性液体」であることです。引火性液体とは、液体(第3石油類、第4石油類及び動植物油類の場合は、1気圧において、温度20度で液状であるものに限ります)であって、引火の危険性を判断するための制令で定める試験において引火性を示すものであることをいいます。

 この試験の方法については専門的になるので省きますが、まぁごく簡単にいうと引火性を示すということはすなわち、「火がつきやすい」ということです(当たり前だ(^_^;))(『3-2.有機溶剤の一般的性質とその危険性状』の項参照のこと)。

 模型関連で多く使われているのは、これらのうちの第1石油類第2石油類第3石油類です。


1-2-1.第4類の危険物となりうる物品

◎第1石油類に分類される物品例

    非水溶性液体
    1. トルエン
    2. ガソリン
    3. 酢酸エチル
    4. ベンゼン
    5. ギ酸エチル
    6. シクロヘキサン
    水溶性液体
    1. アセトン
    2. アセトニトリル
    3. ジエチルアミン
    4. (t)ブチルアルコール
    5. ピリジン
◎第2石油類に分類される物品例

    非水溶性液体
    1. キシレン
    2. 軽油
    3. 灯油
    4. 酢酸アミル
    5. スチレン
    水溶性液体
    1. アリルアルコール
    2. アクリル酸
    3. 酢酸
◎第3石油類に分類される物品例

    非水溶性液体
    1. クレオソート油
    2. アニリン
    3. 重油
    4. ニトロベンゼン
    水溶性液体
    1. エチレングリコール
    2. グリセリン
    3. メタクリル酸
    4. 酪酸

◎用語解説

    ・第1石油類……1気圧において引火点が21度未満のもの。
    ・第2石油類……1気圧において引火点が21度以上70度未満のもので、塗料類その他の物品であって、組成を勘案して自治省令で定めるものを除いたもの。
    ・第3石油類……1気圧において引火点が70度以上200度未満のもので、塗料類その他の物品であって、組成を勘案して自治省令で定めるものを除いたもの。
    ・引火点…………火花、炎等の火源により燃焼を始める最低の温度のこと。引火点が低いものほど引火性が高く、引火点が高いものほど引火性が低い
    ・非水溶性液体…水溶性液体以外のもの。
    ・水溶性液体……1気圧において、温度20度で同容量の純水と緩やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまった後も当該混合液が均一な外観を維持するもの。

◎模型に関するものの例(注:私が持っていないものはわかりません(^_^;))

    ・第1石油類……… Mr.カラーうすめ液《GSIクレオス》
    Mr.カラーレベリングうすめ液《GSIクレオス》
    Mr.リターダーマイルド《GSIクレオス》
    Mr.セメント《GSIクレオス》
    Mr.スプレージュニア《GSIクレオス》
    Mr.カラー《GSIクレオス》
    タミヤセメント《タミヤ》
    タミヤセメント(流し込みタイプ)《タミヤ》
    タミヤカラースプレー塗料(ミニ)《タミヤ》
    KM.MAXシンナー《ガイアノーツ》
    ガイアカラー《ガイアノーツ》
    レーシングカラー《モデラーズ》
    ・第2石油類……… エナメル溶剤《タミヤ》
    アクリル溶剤《タミヤ》
    タミヤカラー《タミヤ》
    ペトロール《クサカベ》
    ・第3石油類……… Mr.カラー《GSIクレオス》
    Mr.スプレージュニア《GSIクレオス》
    Mr.サーフェイサー《GSIクレオス》

 これらの製品は全てが混合溶剤(『2-1-3.混合溶剤、シンナー』の項参照のこと)ですが、具体的な組成についての記載がほとんどありません。セメントだけはGSIクレオス、タミヤともに書かれてはいますが、肝心の主成分については「有機溶剤」としか書かれていません。メーカーさんにはぜひとも組成の記載をお願いしたいところです。これがわからないがために、第2章の記述が膨大なものになってしまったのですから。


1-2-2.第4類の危険物の性質


  1.  第4類の危険物の蒸気と空気とが混ざった場合、燃焼(爆発)するのはその蒸気と空気との混合割合がある範囲内の時だけです。この範囲で、危険物の蒸気を含む割合が最少の時を燃焼下限界、最大の時を燃焼上限界といい、その間を燃焼範囲といいます燃焼下限界が低いもの、燃焼範囲が大きいものほど危険性が高くなります
     一般的に第4類の危険物は、可燃性ガスと比較した場合、燃焼下限界は低いですが、燃焼範囲は狭くなっています(ただし例外あり)。
  2.  第4類の危険物の蒸気の比重は、1より大きくなっています(つまり空気より重い)。従って、その蒸気は低い所に溜り、また、より低い所に流れます
     このため、危険物を使用している場所から遠く離れた所にある火源により引火する危険性があります
  3.  第4類の危険物の多くは、液体の比重が1より小さくなっています(つまり水より軽い)。また、アルコール類等一部の危険物を除いて、水に溶けにくい性質を持っています。このような物品が水に流れ出すと、水の表面に薄く広がり、その液の表面積は格段に大きくなってしまいます。このため、火災となった場合は、非常に広い面積で燃えることとなり消火が困難となります
     また、消火する際には、一般に水の使用は避けなければなりません
  4.  引火点が火花、炎等の火源により燃焼を始める最低の温度であるのに対して、このような火源の存在なしに燃焼を開始する最低の温度を発火点といいます
     第4類の危険物の中には、この発火点の非常に低いものがあり、このような物品は、火源がなくとも加熱されるだけで発火する可能性がありますので、温度管理が重要です。
     また、動植物油類等は発火点が非常に高く、通常の状態で発火することはありませんが、乾性油などが布等にしみ込んでいる場合等には、発生する熱が蓄積して常温でも発火することがあります。
  5.  第4類の危険物は、その多くが電気の不良導体です。このような物品は、静電気が蓄積されやすく、蓄積された静電気が放電するとき発生する火花により引火することがあります
     従って、このような物品が流れる配管、ホース等は、接地する等発生する静電気を除去する措置を講じる必要があります。

1-2-3.第4類の危険物の火災予防及び消火の方法

1)火災予防の方法

2)消火の方法

 第4類の危険物の消火には、可燃物の除去や、可燃物の冷却等による方法を用いることが難しいので、空気の遮断による方法が用いられます。
 消火に使用される消火剤としては、霧状の消火液、泡、ハロゲン化物、二酸化炭素、粉末等があります。比重が1より小さい非水溶性の物品の消火に水を用いますと、性質の項に記した理由により、火災の面積を拡大することになりますので、このような物品の火災を消火する際には、水を用いることはできません
 また、アルコール等の水溶性の液体に対して泡を用いる場合には、泡が消滅しやすいので、水溶性液体用泡消火薬剤を使用しなければなりません。


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