第2章 シンナー中毒にご注意!!

 有機溶剤による産業事故の事例を調べますと、要因として挙げられるものとして、1)換気施設がない、2)換気施設が不足している、3)呼吸用保護具をしない、4)呼吸用保護具の使用方法に誤りがあった、といったものがあります。
 したがって、通気不充分なところで有機溶剤を扱うときには、次の対策を講じる必要があります。
  1. 充分な換気をしながら作業してください。
  2. 有効な呼吸用保護具を着用しながら作業してください。この場合、ホースマスクを使用するのがいちばん効果があるのですが、防毒マスクを使用する際には、作業開始前に防毒マスクの吸収缶の破過時間に注意し、破過する前に交換できるよう吸収缶を管理しておく必要があります。
  3. 作業する人は、次に挙げる有機溶剤についての充分な知識をもつようにしてください。
    1. 有機溶剤の人体に及ぼす作用、特に麻酔作用と急性毒性
    2. 有機溶剤の取り扱いの注意事項
    3. 換気の方法
    4. 保護具の使用法
    5. 有機溶剤中毒が発生した時の応急措置、救助の方法

 この章ではこれらのことについて解説していきます。



2-1.有機溶剤とは
2-1-1.有機溶剤の分類
2-1-1-1.化学構造による分類
2-1-1-2.沸点による分類
2-1-2.有機溶剤の一般的性質と危険性
2-1-3.混合溶剤、シンナー
2-2.有機溶剤による障害の起こり方
2-2-1.付着・吸収
2-2-1-1.皮膚・眼への付着・吸収
2-2-1-2.呼吸器からの吸入・吸収
2-2-1-3.消化器からの吸収
2-2-2.循環
2-2-2-1.麻酔
2-2-3.体内蓄積
2-2-3-1.神経障害
2-2-3-2.造血障害
2-2-3-3.肝障害
2-2-3-4.腎障害
2-3.予防措置
2-3-1.有害化学物質の製造、使用の中止、有害性の少ない物質への転換
2-3-2.生産工程、作業方法の改良
2-3-3.有害物質を取り扱う設備の密閉化と自動化
2-3-4.有害な生産工程の隔離と遠隔操作の採用
2-3-5.局所排気による有害物質の拡散防止
2-3-5-1.模型用市販ブースの例
2-3-6.プッシュプル換気による有害物質の拡散防止
2-3-7.全体換気による有害物質の希釈排出
2-3-8.作業行動の改善による異常ばく露と不要な発散の防止
2-4.応急措置
2-4-1.有機溶剤中毒(卒倒)
2-4-2.救急蘇生
2-4-3.眼に入った場合
2-5.保護具
2-5-1.保護具とは
2-5-2.呼吸用保護具
2-5-2-1.防毒マスク
2-5-2-1-1.吸収缶について
2-5-2-1-2.防毒マスクの使用方法
2-5-2-1-3.防毒マスクの管理
2-5-2-1-4.防毒マスクのメーカー
2-5-2-2.防塵マスク
2-5-2-2-1.取替え式防塵マスク
2-5-2-2-2.使い捨て式防塵マスク
2-5-2-2-3.防塵マスクのメーカー
2-5-2-2-4.模型用防塵・防毒マスクについて
2-5-2-3.送気マスク
2-5-2-3-1.ホースマスク
2-5-2-3-2.送気マスク使用の際の注意事項
2-5-3.労働衛生保護衣類


inserted by FC2 system